早く言ってあげて。
2018/9/6 | ||
人の実力や人格の完成度に従って醸し出される言動や空気を権威、若しくは品格という。
この培ってきた権威や品格は、誰からも奪われることはない。
一方、「権力」は実にあっけなく奪われるし、あっという間に失うことになる。
権力の座をつかんだ者のおごりがそうさせるのだろうか。 いや、それとも、権力者にはどこか常に不安や引け目があり、保守的な心がそうさせるのかもしれない。 他者からの意見を排除するような、ものを言えないようは空気を漂わせ、権力が揺らぎ始めると途端にウソや誤魔化しが多くなり、時に激しく怒ったりもする。
今回の体操女子の件や日大アメフト、ボクシングの件など、権力者の言動はよく似ている。
アンデルセンが翻案した童話「裸の王様」が発表されたのは、1837年であるが、その原作となると、1335年にスペインの王族が発表した寓話集にまでさかのぼる。
「私には見えない」と正直に言えないのは、原作から680年以上経った今も変わらぬ「人間」というどこまでも傲慢な生き物のエゴなのかも知れない。
自分のことなのに、自分がきちんと真実を語り、釈明すれば済むのに、権力者はみな、第三者委員会の決定を待つという。
「王様は裸です!」
早く言ってあげて。
自分では言えないようだから。
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林 正寛 | ||