キングカズ。

キングカズ。

  2019/9/26  
     
 

 

日本陸連が男子10種競技の右代選手に世界選手権出場の誤内定を出した問題。

 

その後、あらためて出場が決まり、事なきを得たが、当時、右代選手はツイッターに「こんな直前はあんまりです。(今からでは)もうチャンスがないんです」と悲痛な訴えを投稿している。

 

しかし、そのツイッターは最後、決意表明で締めくくられている。これが素晴らしい。

 

「絶対に自分に負けないように、腐らないように走り続けます」と。

 

右代選手は、誰かを責めたい気持ちを最後はグッと抑え、しっかりと前を向いた。

 

おかげで、人生の風向きは変わらなかった。

 

 

 

この右代選手のツイッターを見て、サッカーの三浦知良選手が、ワールドカップメンバーから落選したときのことを、先日お亡くなりになったジャニー喜多川さんとの思い出として新聞に掲載していたコラムを思い出した。

 

そのときジャニー喜多川さんは、三浦選手に「みんなカズの味方だから。みんな応援している。心配しなくていい」と声を掛けてくれたそうだ。

 

三浦選手は、ジャニーさんの言葉の裏に、“自分をコントロールしないといけないよ。愚痴、ねたみ、恨み節、「なぜ俺が」などと負の感情に身を委ねてはいけないよ”とのメッセージを読んだ。

 

 

三浦選手は、ジャニーさんに「大丈夫です。記者会見もしっかりやります」と答えている。

 

三浦選手曰く、“一つの言葉や態度が人の心をつかんだり、逆なでしたり、人生の風向きを変える”

 

 

当時、三浦選手は、ともすると自暴自棄になってしまいそうな心を封印し、事実を正面から受け止め、しっかりと前を向き、堂々と記者会見に臨んでいる。

 

 

「キングカズ」の呼称は、決して、その輝かしい実績だけではないということだ。

 

 

 

 

人との出会いが人生に分岐点を作る。

 

一つの言動がその後の人生の風向きを変える。

 

 

 

 

人生は風見鶏。

 

 

 

 

自分に負けないように、腐らないように―。

 

 

  

 

 

 

 

  林 正寛