七曲署捜査第一係。
2021/7/15 | ||
アメリカのたばこ販売大手フィリップ・モリス・インターナショナルのCEOが、「日本で10年以内に煙のない社会を実現する」と表明した。 日本で紙巻たばこの販売から撤退し、煙が出ない加熱式たばこに注力するという。
2020年の改正健康増進法施行により、飲食店では食事をしながら紙巻きたばこを吸うことができなくなった。
たばこの煙の肩身は狭くなるばかりだ。
昭和の時代、たばこの煙は絵になった。
ドラマでも映画でも、たばこの煙は演出効果抜群で、七曲署捜査第一係から寺内貫太郎一家まで、あらゆる場面で表現されてきた。
「たばこの煙が目に沁みただけだから」と、決して見せてはいけない男の涙だってごまかせた。
それを見て育った昭和な男は当然、影響を受け、カッコイイたばこの吸い方に時間とお金を費やした。
なんなら、たばこを買うところから演技は始まっていて、夕べ見たドラマで松田優作がやっていたのと同じように、いかにも物憂げな感じでたばこ屋の娘さんに銘柄を伝え、代金は、わざとクシャクシャにした500円札で支払ったりしていた。
実にバカバカしい話かもしれないが、そこには、昭和な男のロマンがあり、昭和な女性もまた、そこに男性のなにがしかを求めていた時代だった。
加熱式たばこでは、まるで絵にならないし、色気もない。 石原裕次郎だって、ブランデーグラスに加熱式のたばこというわけにはいかないだろう。
♪~I will follow you あなたについてゆきたい
アイドル松田聖子が、春色の汽車に乗り、たばこの匂いのシャツにそっと寄り添ってから、はや40年。
昭和な男のロマンは、令和の空に煙のように浮かび漂い、ひとつ、またひとつと消えていく。 以上
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林 正寛 | ||