国税庁からメールが届いた。

税金が未納なので、すぐにお支払いください。お支払が無い場合、法的手続きに入いりますと。

―　ついに、ここまできたか。しかし、なぜメールなんだ・・・。

私はすでに、アマゾン会員の資格停止処分を受けており、楽天やイオンカードも使えそうにない。

ETCもダメ、えきねっとも更新手続きをしていないので、車も新幹線にも乗れない。

おまけに、アダルトビデオを見ているところを撮影したので、拡散されたくなければ金を払えと脅迫もされている（見てません。絶対に！）

―　一体、あなたは誰？

しかも、毎日、そして日に何度も。よほどの暇人か。

もう十数年も前のことで詳細は覚えていないが、試しに、メールに記載されていた電話番号にかけてみたことがある（←よほどの暇人です）。

意外にも女性が電話口に出てきて、とても優しい口調だった。

「口座番号を申し上げますので、至急お支払ください」

もちろん払うわけないので、放っておくと、今度は、少しドスの効いた声の男性から電話がかかってきた。

「早く払えよ」

さらに放置していると、怖い電話がかかってきた。

「ナメとんのかボケ。早よ払わんかい、おどりゃあ、すどりゃあ」

何度かこんな電話があり、それでも無視し続けていると、私の相手をするのが面倒くさくなったのか、それっきり連絡がこなくなってしまった。

私は誰と話をしていたのだろうか。

またあるとき、女性（と思われる人）からメールが届いた。

「最近、ぜんぜん連絡くれないんですね。お元気ですか？」

「どうして連絡くれないんですか」

「もしかして病気とか。とても心配です」

「連絡待ってますね」

―　こ、これは誰だ？（ドキドキ）

そして何日か経ったのち、送り先を間違えたとお詫びのメールがあった。やれやれとホッとしたのもつかの間、さらにメールがきた。

「これも何かの縁なので、たまにメールをしてもいいですか」

「どうしてお返事いただけないのですか」

「私、勝手にメールしちゃってもいいですか」

―　誰？