オトナの責任。

オトナの責任。

  2023/4/5  
     
 

 

 

新卒38年目の春を迎えた。

 

ここまで実にまじめに、懸命に働いてきた。

 

そして、昭和、平成、令和と、たくさんのオトナたちが私の何倍も何十倍もまじめに、懸命に働いてきた。

 

それなのに、世の中が良くならない。

 

こんな世の中しか残してやれていないことに、今の世代に対し申し訳ないとも思う。

 

 

学校を卒業し、社会人となり、結婚をして子をもうけ、家を買い、子を育てる。

 

かつて、こうした「普通」に存在した人生設計が今の時代は描きにくい。

 

私の世代が「普通」ではない「特別」を追い求めて人生を選択してきたのとは違い、今を生きる世代にとっては、「普通」は上級クラスで、「普通」をとても大切する。

 

また、今回のパンデミックで「普通」は、さらにグレードアップしてしまった。

 

 

世界の空のあちらこちらに砲弾が飛び交い、北の人からのミサイルは日常と化している。

 

人類自らが育ててしまった地球温暖化の脅威も計り知れない。

 

大変な時代をこれからも生きていかなければならない若者たちに「普通」を残してやれなかったのは、我々オトナの責任でもある。

 

「普通」があればこその選択なのに、選択の余地がない人生は豊かとはいえないだろう。

 

 

 

 

神宮外苑の再開発。

 

坂本龍一さんは、都知事に手紙でこう訴えた。

 

「目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な樹々を犠牲にすべきではありません」

 

「これらの樹々を未来の子どもたちへ手渡せるよう、再開発の計画を中断し、見直すべきです」

 

また、「樹々は万人に恩恵をもたらすが、開発は一部の既得権者と富裕層だけに恩恵をもたらす」とも。

 

 

 

神宮外苑の樹々も「普通」にそこに存在した景色だ。

 

再開発と樹々。

 

どちらを未来へ残すか。

 

 

 

オトナの責任は重い。

  

   

  

    

 

 

 

  林 正寛