これでいいのだ。

これでいいのだ。

  2024/12/26  
     
 

 

 

鉄分を摂れば元気になるかもしれないと、ニラレバ炒めを食べたりもしたが効果はない。

 

「あなた、それって本当にコロナの後遺症ですか?」

 

9月にコロナウイルスに初めて感染した。

 

症状そのものはそれほど重くはなかったが、倦怠感が長引き、今も残っている(気がする)。しかし、最近、家人が疑い始めている。

 

実は、今、感じている倦怠感は、コロナの後遺症なのか、元々ぐうたらだからなのか、または加齢によるものなのか、実際、自分でもわからなくなってきている。

 

ともかく、決定的に運動が不足しているのは間違いない。

 

― 駅の階段の昇り降りだけでも運動にはなるだろう。

 

浅はかながら、自動車をやめて電車通勤を始めてみた。

 

問題は、朝夕ラッシュ時の混雑だ。特に帰りの電車では、一日懸命に働いたオジサンたちから素敵なにおいが漂ってくるし、酒やたばこの臭いも気になる。

 

初日は少しへこんだ。

 

私鉄から地下鉄と階段は多い。息は切れるがいい運動にはなる。

 

二日目もガンバッタ。

 

三日目の帰りの電車。

途中の駅から赤ちゃんを抱っこしたお母さんが乗ってきた。

 

折りたたんだベビーカーを反対の手に持って、窮屈そうに少しでも空間のある方を探しながら、ジリジリとバックしてきて、お母さんの背中が私のすぐ前までやってきた。

 

抱っこされてる赤ちゃんは、後ろにいる私の方を向く形になり、赤ちゃんのあの遠慮のない視線が私に注がれる。

 

「バァー!」

 

ついやってしまった。

 

しかも、赤ちゃんが笑ってくれたので調子に乗って、もう一度。

 

「バァ~~!」

 

それがお母さんにばれてしまい、変質者から子どもを守ろうと、赤ちゃんの向きを変えて抱っこし直すと、険しい顔で睨まれた。

 

完全に心が折れて、結局、倦怠感だけが残った。

 

 

 

 

ちなみに、レバニラ炒めは、「天才バカボン」の主人公バカボンのパパの大好物で、漫画にも登場する。

 

なんでもひっくり返して言ってしますうバカボンのパパが、漫画の中で、本来は「ニラレバ」のところを「なんでレバニラを食べないのだ。お前らそれでも日本人か」などと「レバニラ」と言っているうちに、当時の若者を中心に「レバニラ」が広がり、世間でも浸透していったらしい。

 

 

 

四日目の朝、自動車通勤に戻した。

 

 

これでいいのだ。

 

 

 

 

              

 

 

 

  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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