上手くいかないけれど(№767)
2025/2/20 | ||
戦時中、多くの画家や作家が国威発揚に利用されたことなどを理由に1970年の大阪万博に反対だった横尾忠則氏は、反対の意思表示をするために、任された建築物を「未完成のまま完成」させ、工事用の足場を残すなど建築のプロセスをそのまま作品として披露した。
一昨年、そのころを振り返り、こう記している。
「人間は、未完で生まれて未完で生きて、未完で死ぬ。これでいいのではないか」
フランス文学者の渡辺一夫氏は、戦争直後の随想にこう書き記した。
「人間は、3分の1は獣。3分の1は機械。3分の1は堕天使。獣で機械で悪魔、それが人間なのだ。そして、人間は、いかに不完全で生臭い存在であるのかの自覚を忘れてはならない」
日本選手として初めてアメリカ野球殿堂入りの快挙を成し遂げたイチロー氏。
史上二人目の満票での選出には1票足りなかったことを会見で問われて、
「1票足りないというのは、すごく良かったと思います。(略)不完全であるというのはいいなって。生きていくうえで不完全だから進もうとできるわけです。(略)そこに向き合えるのは良かったなと思います」
自分が不完全であることを自覚し、向き合い、受け入れ、それでも生きていく、それだから生きていけるんだという偉人たちのメッセージ。
何もかもが足りていなくて、不完全で、貯金も投資も上手くいかないけれど、偉人たちのメッセージを胸に、
“お金だって少しくらい足りないくらいの方がいいンじゃないか”
そう自分に言い聞かせながら私は毎日、辛抱強く生きています。以上
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林 正寛 | ||