夏の記憶(№776)
| 2025/10/23 | ||
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大阪・関西万博のイタリア館で展示されていた作品の一部が大阪市立美術館で公開されることが発表されると、今月の10月25日から来年の1月12日までの開催全日程のオンラインチケットが売り切れてしまった。
百貨店などに特設されている万博関連のグッズ売り場は今も大混雑が続いている。
開幕前は評判が悪く、成功も危ぶまれていたのに、一体、なにがどうなったのだろうか?
たしかに、夏ごろから会う人ごとに「万博行かれました?」と聞かれる機会が増え、「いいえ」と答えると、「私は3回行きました。楽しいですよ」
リピーターが多いことに驚かされた。
― これは1回は行っておかないと、まずいことになるんじゃないか。
仕舞いには、こんな一種の恐怖心理みたいなものも働き、慌てて会場に足を運んだ人もいたのではないだろうか。
ちなみに、私も行ってみた。ただ、感受性が低いのか、なにも感じず、もう一度行こうとまでの気持ちにはなれなかった。
あらためて、万博の理念とテーマ事業の考え方を公式webサイトで見てみた。 理念である「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現するために設定されたテーマは8つ。
1.いのちを知る 2.いのちを育む 3.いのちを守る 4.いのちをつむぐ 5.いのちを拡げる 6.いのちを高める 7.いのちを磨く 8.いのちを響き合わせる
大盛況の中、この理念とテーマはどれだけ浸透したのだろうか。
たしかに、猛暑の中、入場するのも退場するのも命がけで、パビリオンに入るのも命がけ。お土産を買うのも命がけだった。
意味は違うが、たくさんの「いのち」を経験した万博でもあったか(嫌味が過ぎるかナ)
万博が閉幕して10日が経ち、急に空気が冷たく秋らしくなってきた。
会社の近くにある洋菓子店の店頭に置かれていたミャクミャクのぬいぐるみがハロウィンのかぼちゃに代わっていた。
ハロウィン、クリスマス、年末年始と大急ぎで過ぎ行く日々の中で万博の記憶も遠いものになっていくのだろう。
2025年の夏、大阪で万博があった。
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| 林 正寛 | ||








