セミとニンゲンと(№785)

セミとニンゲンと(№785)

  2026/5/13  
     
 

 

 

 

生まれ変われたら何になりたいか。

 

「大谷翔平家のデコピンかなぁ」

 

以前、妻に聞かれたときにこう答えた。

 

人間はもう懲り懲りだが、ある程度の寿命と好待遇は求めたい。

 

それには、「デコピン」がうってつけである。

 

妻はと言えば、「セミ」

 

種類にもよるが、幼少期は、だいたい3年~7年土の中でじっと過ごす。

 

そして、羽化して成虫になった途端、オスであれば、鳴いて鳴いて鳴きまくり、メスはオスの鳴き声に応え、一週間で命を全うする。

 

妻によれば、ひとりでじっと過ごした後のその潔さがイイらしい。

 

干渉されたくない妻らしい。

 

しかし、一週間の命というのは、人間に捕らえられた飼育下での短命な事例が広まった俗説で、実際の寿命は、2週間~3週間、中には1ヶ月以上生きるものもいるらしい。

 

 

化石が好きな小学生姉妹が、博物館が「お土産用」などとして販売していた岩石からセミの全身化石を見つけたことが話題になっていた。

 

約30万年前のものらしいが、セミの化石に関しては、発見例が少なく、見つかっても羽の断片がほとんどで、全身は極めて貴重だという。

 

その後、昆虫化石の専門家と大学の教授が共同でこのセミの論文を出版するに至った。

 

30万年前といえば、日本は主に氷河期。大陸とは陸続きでナウマンゾウやマンモスが生存していたが、日本列島にはまだ現生人類の定着は確認されていなかったという。

 

現生人類は、約20万年前~30万年前にアフリカで出現したというから、約40億年といわれる生物の歴史からするとごく最近の出来事である。

 

そんな生物の歴史における新入りの「ニンゲン」が地球を支配し、「ニンゲン」同士が戦争により命を奪い合い、「ニンゲン」が活動することにより発生する温室効果ガスが原因で地球温暖化を招き、地球は深刻な環境破壊が進行している。

 

30万年前からこの世に目覚めたセミの眼にはどのように映ったのだろうか。

 

我々「ニンゲン」は、このセミにとてもじゃないが顔向けできない。

 

 

 

暑がりの妻はもうすでに我が家の扇風機を占領下に置き、「暑い、暑い」と言いながら、大量の二酸化炭素を排出している。

 

今からこの調子なら、今年の夏もまた思いやられるだろう。

 

「やっぱセミだな。セミなら暑さにも耐えられるやろ」

 

「えっ?あなた何か言いました?」

 

扇風機の音で聞こえないらしい。

 

「扇風機を返せー、このやろう!」(万が一聞こえたら化石にされてしまうので小声で)

 

 

 

 

            

 

 

 

  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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