この親にしてこの子あり。

この親にしてこの子あり。

  2015/05/21  
     
 

先日、テレビを見ていると、クラブのようなお店の入口にドレス姿のホステスさんがずらりと並び、お客を迎え入れるシーンが映っていた。

 

「いやぁ~、いいなぁ。こんな店に行ってみたいもんだ」

 

うっかり、口がすべった。

最近は年のせいか、口はすべるし、目は口ほどにものを言うし、時には膝が笑ったりもする。

 

「あら、あなた、行ってくればいいじゃないですか」

「あれだけ夜、ウロウロなされているんですから」

「あなた、いつもどこに行ってらっしゃるんですか」

 

空爆が始まった。

しかしこのごろは、ある周波数を超える空爆は耳に入らないようになった。「耳」が勝手にそう反応する。これも年のせいかもしれない。

 

やがて、停戦合意がないまま空爆は収まり、かりそめの幸福が訪れる。

そしてまたどこかで、私がうっかり地雷を踏み、再び空爆が始まる。

 

まあ、夫婦も長くやっていれば、こんなものかとも思う反面、いつか捨てられるのではないかという不安がないでもない。

 

私のように「昭和な男」は、一人では身の回りのことが何もできない。

私の父がそうで、若い時分から家事一切についてやろうとしなかった。それが何年か前から、母に捨てられたときのための練習にと、ご飯を炊いたり、パンを焼いたり、食器を洗ったりと少しずつやり始め、今ではルーティンのように家事の一部を担当している。

 

この親にしてこの子ありという。

私もそろそろ、家事の練習を始めた方がいいかもしれない。

 

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バブル時代、女性は結婚相手の条件に、高学歴、高収入、高身長といういわゆる「三高」を求めたが、今では、「癒し、思いやり、優しさ」などの主に内面を求めるという。

 

家事や育児を夫婦で協力しながら分担し、価値観をいかに共有できるかがポイントのようだ。

今の時代なら私は100%結婚できていない。

 

 

中2の息子が、どこをどうさまよったのか、このところ毎日、YouTubeを見ながら、ジュディ・オングの「魅せられて」を歌っている。

 

♪~好きな男の腕の中でも 違う男の夢を見るぅ~

 

意味深な歌詞を物ともせず、父 → 私 → 息子と三代続く音痴を気にする素振りも一切ないあたり、この親にしてこの子ありだ。

 

― 君も家事の練習をしておいた方がいいんじゃないか。

 

♪~私の中でお眠りなさい

 

「いやぁ~、いいなぁ。こんなことを言ってもらいたいもんだ…」

 

- また、地雷を踏んだかもしれない。

 

 

「あっ、もしもしお父さん。うん、久しぶり。ところでさ、家事の練習は何から始めたらいいんだっけ?」

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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