時代はまわる。

時代はまわる。

  2015/09/24  
     
 

サラリーマン時代にお世話になったYさんと3年ぶりに飲みかわした。

 

Yさんは、私より10歳ほど年齢が上で、社会的な地位もある。

本来、私のような者が一緒に酒を飲めるような立場にはないが、出来が悪い私の先行きがよほど心配なのだろう。私が独立した後も何かと気にかけてくれて、こうしてたまに会い、近況を報告する。

 

 

話題はどうしても、お互い取り組んできたあのころの緊迫した仕事のことになるが、ただ、このところ、どうにも記憶が怪しい。

 

 

どこから弾が飛んでくるかわからない、そんな戦場を駆け回るような厳しい仕事の毎日であったのに、私の頭の中で生々しかった当時の「記憶」が、薄ぼんやりした「思い出」に変わりつつある。

 

 

退職して10年。時間の経過が確実に痛みを柔らかなものにしてくれている。

 

 

あのころ、酒を飲みながら、中島みゆきの「時代」を歌い、歌いながら思わず絶句し、あんな時代もあったと一体いつになれば笑って話せる日が来るのかと、涙がこぼれ落ちそうになったこともあったが、こうして、あんな時代もあったと酒を飲みながら話せる日が来たことに無類の喜びを感じる。

 

 

しかし、時間の経過は、心ばかりではなくカラダも変えてしまう。

 

 

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Yさんが私の顔をのぞきこみながらしみじみと、「それにしても太ったよなぁ」

 

禁煙がきっかけで太りだし、禁煙後5年半で体重が18キロも増えてしまった。

 

「待ち合わせしていなかったら、ハヤシさんと気が付かず、すれ違ってるわ」

 

 

身長からすれば以前がやせ過ぎていただけで、身長とのバランスの面では今の方が「適正かつ妥当」なのだが、反面、体重の増加と共に健康診断では「再検査」項目も増えてきているため、その点では「適正かつ妥当」とは言えない。

 

 

飲み屋のオネエチャンなどは、「いやぁ、貫禄が出てきてええやないの」と客をおだてるのが上手いので、おだてに乗れば「適正かつ妥当」とも言える。

 

 

しかし、風呂あがりに「暑い、暑い」と上半身裸で部屋をウロウロしていると、家族全員が汚い物でも見るかのように冷たい視線を放ちながら各人の部屋に退避してしまうのは、「適正かつ妥当」ではない証拠でもある。

 

 

「適正かつ妥当」とは、見る人の視点や感じ方、立場などで大きく変わる。

 

 

住宅街で人を襲った犬に警察官3人が拳銃を13発も発砲したことに対し、警察署が「適正かつ妥当であったと考える」と―。

 

 

まあ、一理ないこともないが、流れ弾が住宅の壁などを何ヶ所も粉砕している結果に照らせば、とても「適正かつ妥当」とは言えず、むしろケガ人が出なくて良かったと不幸中の幸いを喜ぶべきであろう。

 

 

私の体重増加は、健康に良くないのは明らかで、早期にダイエットに取り組み、体重を絞ることこそが「適正かつ妥当」な対応なのだろう。

 

 

過酷なダイエットに耐え、あんな(太った)時代もあったねと、いつか笑って話せる日がくるのだろうか。

 

 

 

だから今日はくよくよしないで

 

今日の風に吹かれましょう

 

 

 

時代はまわる―。

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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