逆恨みはコワイけれど。

逆恨みはコワイけれど。

  2015/04/16  
     
 

朝の通勤に地下鉄を利用するときは、混雑を避けるためにできるだけ早い時間帯の電車を利用するようにしているが、先日、いつもの電車がどういうわけだかずいぶん混んでいた。

 

電車に揺られながら、前の晩に見た、割り込みを乗車しようとした男性を注意したがために反対に逆恨みされるようになるというストーリーのドラマを思い出しながら、どうしたものかと思案していた。

 

私は普段、迷惑な行為をしている人に対しては、割と気安く注意をする方であるが、家人からは、あなたはいつか、逆恨みされて刺されるかもしれないみたいなことを言われていたし、ここは無視しようかとも思ったが、見て見ぬ振りをするというのも気がとがめる。

第一、目の前の女性は、隣にいる男性の行為に明らかに不快そうにしている。

 

その男性は、スマホのゲームに夢中になるあまり、電車の揺れにまかせて、右へ左へカラダをふらつかせ、時に隣の人へ大きくもたれ掛かったりして、ほとんど自分の足で支えようとしていない。

代わりに隣の人が男性の体重を受け止め、崩れないよう踏ん張っている。

 

「しっかり立たないと周りに迷惑だぞ」

 

男性は、30歳くらいで私服を着ていたが、私の声に我に返ったように驚き、小さく「すみません」と言い、体勢を整えた。以後、フラフラはなくなったが、今まで以上に下を向き、ゲームはしっかりと続けていた。

 

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朝の満員電車の中でもスマホから目を離さずゲームをしている人は多い。どうして今、この状態でスマホなのか、私からすると、ほとんどビョーキではないかと思う。

 

そんな人たちは、後ろから押されようが、電車が揺れようが、スマホから目を離さず、自分だけの世界にのめり込んでいるから、スペースが空いていても気が付かず、前へ詰めたり、横へズレたりしない。そのために周囲が窮屈な状態になっているというのに、そんなことはお構いなしだし、第一、自分が迷惑をかけているなんて思いもしていないだろう。

 

そもそもの性格などは知る由もないが、少なくともスマホの影響で、自分が最優先で、相手のことを考えてあげることのできない自分本位になってしまっているのは間違いない。

 

大袈裟に考えすぎかもしれないが、子どものころからスマホやタブレットを触っていると、こんな風な大人になってしまう、つまり、人格形成に悪い影響を与えないものだろうかと心配になる。

 

人の好意を曲解して逆に恨むこと、筋違いなことを理由に人を恨むことを「逆恨み」というが、まさに自分本位がなせる業ではなかろうか。

 

「自分本位な人間に何を言おうが理解はしないだろうし、逆恨みはコワイから知らん顔して黙っていよう」

 

わからなくもないが、その考えもまた、自分本位ではなかろうか。

とすると、迷惑行為に対し注意をするか無視するか。どちらに軍配が上がるのか容易にわかると思うが、しかし、それがまた、必ずしも正解とは言えないかもしれない。

 

― ムムム…。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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