先日、家人が突然、香川のうどんが食べたいと言うので、それなら会社の近所にある美味いうどん屋さんに久しぶりにいこうかと返事をすると、「香川県に行って、人気のうどん屋さんで食べたいんだ」と―。

最近、香川県のうどん屋さんがちょっとした流行になっているのは知っているし、テレビでも紹介されているのをときどき見る。

「今日はどこから来られましたか」

うどん屋さんの前で行列している人にレポーターが質問すると、「ああ、大阪です」と、いかにも当たり前といった感じで真顔で答える人。

私はどうしても納得できない。

なにもわざわざ香川県まで行って食べなくても、大阪には美味いうどん屋さんは山ほどある。

私は、合理性に欠ける考えや行動が苦手だ。

しかし、損得勘定はできる。

この休日に家人の提案を断るのは自爆を意味し、目の前の問題としては、どこかの国のミサイルよりコワイ。返事につまってもいけない。

即答、「行きましょう」

大阪にお住いの人は分かると思うが、休日に西へのルートは渋滞がひどい。

何時間もかけて、お昼にわざわざ香川県まで行って「うどん」

表現は悪いが、高が「ウドン」

おまけに店に着いたらまた渋滞で、延々の行列を乗り越え、そして、出てきたのは、ごくごくフツーの「饂飩」

美味しくないとは言わないが、これなら会社の近所にあるうどん屋さんの方が美味いんじゃないかな。

「コシがあって美味しいわ」

“うどんに腰があるわけないやろー”と突っ込みたくなったが、せっかくご機嫌なのに今日はよした方がイイと損得勘定が働き、

「ああ、ホント。来てよかった」

帰りは淡路島経由でこれまた渋滞に巻き込まれ、一向に進まない車のラジオから最近流行の曲が流れてきた。

♪～ 

僕は嫌だ！

不協和音を　僕は恐れたりしない

嫌われたって　僕には僕の正義があるんだ

殴ればいいさ　一度妥協したら死んだも同然

―　言ってみたいナ…。