本当に孤独な人。
2017/10/25 | ||
SNSのこと。
まったく知らない人が「いいね」をしてくれたり、フォローしてくれたりする。
昨年始めたインスタグラムも、たいして真面目にやってはいないが、投稿する画像のテーマごとに、知らない人が「いいね」をしてくれて、なかなかオモシロイ。
この前、外国人アーチストの古いレコードジャケットを投稿したら、何人かの知らない外国人の人が「いいね」をしてくれたし、京都の画像には、京都に縁のあるこれまた私の知らない人が「いいね」をしてくれる。
たまに、知らない女性から、「素敵ですね」みたいなコメントが入ると、ただそれだけで、次の投稿もがんばろうと張り切ったりする。
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特に若い人の中では、SNSは、もはや暮らしの一部になっていて、たとえば、一人鍋や一人焼肉、一人カラオケなど、私が若い時分にはおよそ考えられなかった「一人の空間」に対する寂しさや恥ずかしさも、スマホの向こうにいる誰かとつながることで忘れさせてくれる。
前時代まで、「一人」でいることは「孤独」を意味し、社会も孤独な人に対しては横目で見るような風潮もあり、だから、孤独に対する恐怖や寂しさから脱したいという反発力が生きる動機づけになったりもしたが、今は、男も女も、「一人」は、社会的地位を確立したように見え、「一人」は、「孤独」ではなくなった。
しかし、私は、誰かとつながっているのは錯覚に過ぎないし、「孤独」を勝手に「自由」と読み替えているだけで、本当に孤独な人は、自分を孤独だと気づいていないのではないかと―。
本来、孤独は、自分は孤独だと認識することではじめて、覚悟が生まれ、社会の重圧に耐えることで人間をより成長させてくれるのだが、自分は孤独だと気が付いていない孤独な人々同士がつながり、群れる社会は、すごくオソロシイ。
つながっているのは錯覚だと自覚した瞬間から、本当の孤独がはじまり、そして孤立するのではないか…。
「あなた、一人鍋とか孤独とか、ブツブツ言いながらインスタするのはやめてください」
「いや、私は現代人が結婚をしなくなった背景には…」
「そんなことをごちゃごちゃ考えながらインスタをやってるの、あなただけじゃないかしら」
「しかし、孤独なのに孤独だと気づかない人が今後も増えてくれば…」
「もしかして、あなた、自分は孤独じゃないと思っていらっしゃるの?」
「えっ………」
本当に孤独な人。
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林 正寛 | ||