君に私のなにがわかるというんだ。
2018/3/6 | ||
ヒト型ロボット「ペッパーくん」がAI(人工知能)を駆使し採用面接をするというニュース。
企業側は採用に係るコストと時間がカットでき、人事担当者の主観や忖度のない採用基準の統一化が図れる。
学生側にしても、面接官の経験や好みに左右されないこの仕組みに対する評価は悪くないという。
社会への登竜門にペッパーくんが立ち、データ化された画一的な採用基準に沿って学生をふるいにかけるだなんて、それこそロボットのような人材を世に送り込むようで、なんかコワイ。
人材ではなくヒトというひとつのパーツのように思えてしまう。
私は、ロボットを前にして、ロボットからの質問にスラスラと答えることのできる学生よりも、面接官の前で緊張して汗をかきかき、しどろもどろになりながら必死に話をしてくれる人の方がなんだか信用できそうに思えるのだが、時代が違うのかな。
そもそも、採用面接というのは、会社側からの一方通行ではなく、学生もまた、実際の会社を見て、この会社が職場として適切かどうかを判断する場でもある。
一次面接、二次面接と進む過程において、職場や案内してくれる社員の対応、採用担当者や役員の顔や服装、喋り方を見れば、きちんとした会社かどうか、ある程度わかるというもんだ。
AI面接サービスの場合、学生は本社に出向かなくてもいいわけだから、へたすると、その会社の社員の姿を見ず、声も聞かずに入社の日を迎えることだって有り得るかもしれない。
こうやって、採用する側もされる側も人を見る目がなくなり、感性や温かみ、信用、またときに冷たさだったり、そうした人間性を失っていくのだろう。
そして、採用に関する責任はすべてペッパーくんが負う。
もしかすると、ペッパーくんが社長になる日もそう遠くはないのかもしれない。
「ペッパーくん、君に私のなにがわかるというんだ」
「アナタ、ムリ。サイヨウデキマセン」
それがどうした。
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林 正寛 | ||