真顔。

真顔。

  2019/7/18  
     
 

 

家のエアコンを新品と取り替えた。

 

 

比較的新しいものでも買って10年。中には15年ものもある。

 

それに昨年、大阪を襲ったあの台風である。

 

あんなに重たい室外機が強風にあおられ、空中に舞い、回転し、まるで縄につながれた大型犬が暴れ回っているようだったが、エアコンには良くなかった。

 

それでも私としては先立つものを考え、騙し騙し、あと2~3年は使いたいなぁと思っていたところへ家人が真顔で一言。

 

「こんなカビを撒き散らしているようなエアコンでは、もう孫に遊びに来てもらえませんね」

 

 

先月1歳になった孫娘だが、これが可愛くてたまらない。

 

こう言うとまるでジジイのようだが(いや、実際ジジイなんだが)、最近は、娘が孫を家に連れてきてくれるのが楽しみになっている(←こういうのを焼きが回ると言います)。

 

「はい、すぐに買い替えましょう」

 

真顔で即答した。

 

 

 

私のような古い人間は、“まだ使えるのにもったいない”という思いが先にきてしまう。

 

しかし、家電製品は、従来品に比べ電気代はかなりお得なうえに、それ以上の使いやすさ、心地良さは、お金では換算できないものがある。

 

車にしてもそうで、燃費の良さは以前とは比べものにならないし、それでいて、機能性は大きく改善され、安心・安全・快適ときている。

 

生活の質の維持・向上のためには、テキトーなところで、新品に取り替えることも必要ということだ。

 

 

こんなことをエアコンの取り替え作業中のオニイサンを前にしゃべっていると、

 

「あなた、少し静かにしてもらえませんか」

 

「あっ、すみません・・・。ただ、まだ使えるものをどこで見切るか、そこが難しいんだよなー」

 

「私は、高校に提出する書類を書いているので気が散ります」

 

「お金に換算できないところも悩ましい・・・」

 

「あの、すみません。この人も新品と取り替えてもらえますか」

 

「いや、それはちょっと・・・」

 

 

 

― オニイサン、そこは真顔で返事するところじゃないから。

 

 

 

 

 

 

 

新しいエアコンは、とっても快適。ルンッ! 

 

 

 

 

 

 

 

  林 正寛