大河の一滴。

大河の一滴。

  2019/8/29  
     
 

 

子どもの自殺が増えている。

 

2018年に自殺した未成年者は599人で前年比32人増えた。

未成年者の自殺死亡率は、1978年の統計開始以来最悪で、原因・動機のトップは「学校問題」である。

 

過去、42年間で子どもの自殺が一年で最も多いのが9月1日。

 

その9月1日が間もなくやってくる。

 

 

 

作家の志賀直哉が1969年、新聞に寄せた随筆に、自らの命をナイル川のしずくに例え、こう書いている。

 

「その一滴は後にも前にもこの私だけで、何万年遡っても私はいず、何万年経っても再び生まれてこないのだ」

 

命を大河の水の一滴に例えるなんて、あまりにも儚い。

 

たしかに、壮大な宇宙のスケール、その歴史の前では、人間の命はまさに大河の一滴にすぎないのかもしれない。

 

しかし、その一滴は、唯一無二であり、二度と生まれてくることはない。

 

 

 

私の兄は、生まれてからわずか一日で亡くなった。姉は、三日しか生きられなかった。

 

しかし、例えそうであったとしても、兄も姉も、たしかにあの時、この世に生まれ、そこにいた。

 

そして、どれだけ遡っても、どれだけ時が経とうとも、兄と姉は再び生まれてはこないのだ。

 

だから、命はかけがえがない。

 

 

 

 

学校に行きたくなければ行かなくてもいい。

 

そんな自分を責めなくてもいい。

 

そして、自分を信じて未来を諦めてはいけない。

 

 

 

 

生まれ変わりもない(たぶん)

 

後にも先にも、ただ自分だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

  林 正寛