まさか。

まさか。

  2019/10/15  
     
 

 

大きな爪痕を残して台風19号が日本から遠ざかり、そして、日本ラグビーのベスト8進出が決まった。

 

落胆と歓喜が交差した日本列島の週末。

 

 

14日朝刊のトップは、紙面右側に堤防が決壊して浸水した市街地の写真。左側には、誇らしげなラグビー日本代表の集合写真。

 

こうも両極端なニュースが並ぶのも珍しいが、どちらも共通するのが「まさか」の思いだ。

 

 

このところの自然災害の猛威は、私たちの予測をはるかに超える。

 

私は昨年、台風21号を目の当たりにしたが、過去の経験則やタイムリーに送られてくる気象データ、そこからの予測など、あらゆるものを総動員しても、目の前で繰り広げられる暴風の脅威は、現実のものとは思えず、「まさかここまでとは」と放心した。

 

今回の台風19号は、日本に接近する前から世界が注目するほどの規模の大きさが伝えられてはいたものの、河川のいたるところが決壊し、多くの犠牲者を出した現実に対してはやはり、「まさかここまでとは」の思いが強い。

 

 

人は恐怖や不安に対し、安易に予測してしまう傾向にあるのだろうか。

大げさに備えたり身構えたりすることに、気恥ずかしく感じるところがあるのかもしれないが、「まさか」を回避する方法は備えしかない。

 

日本ラグビーのような嬉しい「まさか」は、いくらあってもいい。

 

いや、もしかすると、日本ラグビーのメンバーたちは、十分練習し、この日に備えていたので、「まさか」の思いは無いのかもしれない。

 

 

「備えあれば憂いなし」は、すべてに通じるか―。

 

 

 

 

しぶとかった夏の暑さがようやく取れたと思ったら、世間では、クリスマスケーキとおせちの予約が始まっていた。

 

 

 

大きな犠牲と引き換えに、季節が動いた。

 

 

 

   

 

 

 

  林 正寛