更年期障害の影響。

更年期障害の影響。

  2022/6/13  
     
 

 

 

以前、破産をする人の傾向として、家の中が荒れていることを書いたことがある。

 

もちろん例外はあるけれど、ほとんどの場合、片付けができてなく、物があふれ、掃除もできていない。カーテンさえ開いてないこともしょっちゅうある。

 

家が荒れるのが先か生活破綻が先なのかはわからないが、そのあたりは無限ループの世界だろう。そこには、夫婦や家族間の破綻も加わる。

 

いずれの場合も、暮らしの重心が「生活」から少し外れたところにあるように感じる。

 

 

 

孤独死案件も不思議なくらい家の中が荒れている。

 

特に男性の場合に多いが、荒れるを通り越して、ゴミ屋敷状態になっていることが多い。

 

今年に入り、処理した2件の孤独死案件はいずれも男性で室内はゴミの山。

 

普通の人なら、とても直視できないほどのひどい汚損状態で、そのうち1件は、高度腐敗のため死因も特定できず、検案書では、不詳の死として処理されていた。

 

― この人の身に一体何があったのか、なぜこうなってしまったのか。

 

 

 

「疒(やまいだれ)に品物の山と書くと「癌」(ガン)という漢字になるのよ」

これは、樹木希林さんが生前、浅田美代子さんによく言って聞かせたことのひとつで、とにかく、物を溜めるな、捨てろと口やかましかったらしい。

 

 

朝起きて顔を洗い、身なりを整え出勤する。

掃除、洗濯、洗い物をする。出したものは仕舞う。

 

当たり前のことなのだが、そうやって規則正しくきちんと生活することは案外難しい。

面倒くさいものだ。

 

私だって、今は仕事があり、家族がいるからできているが、そもそもぐうたらな性格なのに、仕事がなくなり、一人になってしまった場合、今と同じモチベーションで生活の維持ができるかどうか疑わしい。

 

 

 

 

嫁に先立たれたため、生活が荒れ、子どもの助言にも耳を貸さないまま徐々に疎遠になり、

 

「あれ、そういえば最近お父さんの声を聞いていないような気がする」

 

慌てて連絡するも電話に出ない。LINEに既読も付かない。

大急ぎで娘が駆け付けると、そこには片手に缶ビールを握りしめたまま息途絶えた私が横たわっていた・・・。

 

 

 

「あなた、いつもそうやって悲観的なことばかり。いい加減にしてください」

 

 

― 更年期障害だからナ。

 

   

 

 

 

    

 

 

 

  林 正寛