この地球にやってきて６０年が経ちました。

あっという間でした。

やってきた日のことはよく覚えています。

というか、当初、私は地球に来ることを拒みました。

なんだか嫌な予感がしたからです。　

にもかかわらず、助産師さんたちは、私の頭をこともあろうか吸引し、無理やり引っ張って連れてこようとしたのです。

おかげで私は、地球にやってきたとき、仮死状態でした。

その後、一命を取り留めたのですが、うぶ湯がぬるかったのは最悪でした。

嫌な予感は的中しました。

苦しいこと、悲しいこと、そして屈辱。

けれども、苦しかったとき、窮地に立たされていたときというのは、今思えば自分が一番輝いていたときと重なったりするから不思議なものです。

退屈な授業、落書きだらけの教科書、放課後に広がる夕焼け。

懐かしいな。

忘れてしまったこと

忘れられないこと

慣れてしまったこと

慣れないこと

あきらめてしまったこと

あきらめきれないこと

やり遂げたこと

やり残したこと

癒えた傷

残った傷

会いたい人

会いたくない人

会いたくても　もう会えない人

これからも

生きててよかった。

ありがと。

還暦に乾杯！