思う秋の日。

思う秋の日。

  2024/11/13  
     
 

 

 

SNSで若者を励ます「時間の話」が目に留まった。

 

午前0時にこの世に生まれたと想定し、健康年齢を72歳とみなして、それを24時間に換算する。

 

「人生時計」といったところだろうか。

 

1時間は3年の計算になるので、18歳の若者は午前6時、24歳だと午前8時に相当する。

 

つまり、若者は、まだ朝を迎えたばかりで、いろんなことにチャレンジできるというわけだ。やり直す時間もたっぷりとある。

 

「人生時計」に置き換えて考えると、時間の大切さがよくわかる。

 

たとえば、コロナの影響で自粛に費やした3年だ。

 

自粛している間に、だれもが確実に3年分の歳をとり、人生時計も貴重な1時間が過ぎ去ってしまったわけだ。

 

 

ところで、私はもうすぐ61歳だから、24時間で換算すると、今は午後8時20分だ。

日はすっかり落ちている。

 

しかも、健康寿命に到達する午前0時まであと3時間40分しかない。

 

若者には励みになる「人生時計」も高齢者には残り時間の短さをリアルに実感させられる。

 

 

 

しかしだ。

 

フジコ・ヘミングが「奇蹟のカンパネラ」を引っさげて東京オペラシティコンサートホールでの復活リサイタルを皮切りに、本活的な音楽活動を再開したのは67歳だったし、ジョー・バイデンがアメリカ合衆国の大統領に就任したのは78歳、大統領に返り咲くドナルド・トランプもまた78歳だ。

 

― オレもまだまだイケんじゃん

 

なんて、考えながら歌番組を見ていたら、人生時計では午後10時の岩崎宏美が、そこは衰え知らずの歌声でしっとりと「思秋期」を歌い上げていた。

 

♪~

無邪気な春の語らいや

はなやぐ夏のいたずらや

笑いころげたあれこれ

思う秋の日

 

 

 

その晩。

 

― まだまだイケると思ったけど、思秋期も過ぎたのかぁ

 

などとぐずぐず考えながら、笑いころげたあれこれを思い浮かべているうちに眠れなくなり、翌日、寝不足のまま人生時計の貴重な針がまた少し進んだ。

 

 

 

思う秋の日。

 

 

 

 

             

 

 

 

  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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