電車で行くことにした。
2021/8/30 | ||
車を買い替えた。
子どもが小さいうちは、ワンボックスカーにしたこともあったが、今回もまた、セダンにした。
特にこだわりがあるわけでもないが、子どものころに強く抱いていた車を持ちたいという思いの先にあったのが、セダンだった。
この年になった今でも、そのことが影響しているのかもしれない。
「スカイライン」の開発中止を日産自動車が明らかにした。
初代の発売は1957年。戦後まだ12年である。最高時速125キロメートルは、当時の国産車最速で、まさに「憧れ」の存在。
その存在は、68年の3代目「ハコスカ」、72年の4代目「ケンメリ」へと引き継がれていき、「スカイライン」は、「憧れ」から若者文化への「象徴」となった。
しかし、近年は、日産自動車固有の問題もあるが、SUV人気などにも押され気味で、大きく販売台数を落としていた。
私が生まれたのは63年なので「スカイライン」の年表と重なる。「スカイライン」に乗ることはなかったが、今でも見かければ、わくわくする。
日産自動車は、国内のすべてのセダンの開発を中止する。 さみしいが、たしかに、今の時代、「シーマ」や「フーガ」ではないのかもしれない。
近くのコンビニでお昼の弁当を買った帰り道。 午後からの仕事現場への移動を車にしようか電車にしようか考えていた。
目的地までは、最寄りの地下鉄の駅から乗り換えなしで行けるけれど、駅からの距離は徒歩で12分。 このごろ、移動は車ばかりなので健康のためには歩きたいが、暑さが邪魔をする。
― やっぱ、車にするかな。
そのとき、背中からオバチャンの大きな声がした。
「なんで歩かへんの!だからブクブク太るのよ!」
― ギクッ!
恐る恐る振り向くと、散歩中のワンちゃんが散歩を拒否して駄々をこねていた。
― た、たしかに太ってる・・・。
「んもう、しゃーないわね」
オバチャンが、ワンちゃんをひょいッと抱っこしたその瞬間、ワンちゃんはあきらかに「あーやれやれ」といった顔をしていた。
電車で行くことにした。
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林 正寛 | ||