勇気があればだけど…。
2015/01/26 | ||
テニスの全豪オープン女子シングルスの1回戦で敗退したクルム伊達選手が会見で、敗れた原因は、年齢からなのか、ケガからなのか、それとも気持ちの問題なのかと悩み、苦しみ、涙していた。
目に見える結果や行動から因果関係(選択の裏側にある「心」、あるいは好き嫌いなどの「選好」)を考えることは、経済学にもあるが、クルム伊達選手は、敗因はどこにあるのかを突き詰め、どう心を整理すればいいのかわからないといった様子であった。
敗れたスポーツ選手がインタビューで敗因を、「弱いから負けた」「へたくそだからエラーした」などと発言をしていることを時々、耳にするが、クルム伊達選手ほどの苦悩は見たことがない。
そもそも、「弱い」とか「へたくそ」というのは、目に見えるものではないし、それを測る尺度は人によって違うものであり、定義もまちまちなので、そのことを敗因とするのはいかにも漠としすぎているし、敗因との因果関係を考えるのは容易ではない。
一方で、「負けた」とか「エラーをした」というのは目に見える結果であるから、言うとするならば、「負けたから弱い」「エラーをしたからへたくそ」であろう。
サッカーワールドカップで西ドイツを優勝に導いた当時のキャプテン、フランツ・ベッケンバウアーが残した言葉、「強い者が勝つのではない。勝ったものが強いのだ」は、とても深イイ~というわけだ。
目に見える行動から目に見えない心を探る学問が経済学である。
だから、旦那は妻から、「あなた、いつもご苦労様。感謝しているわ」と言われて喜んでいる場合ではない。
「感謝」などという目に見えないものを何度言葉にして繰り返されたとしても、妻の本当の心のうちはわからない。
「あなた、はい、ビール。いつも感謝しているわ。今夜はハイボールもあるわよ」
これであれば、行動と心の因果関係が手に取るようにしてわかるというものだ。
勇気があれば妻に言ってみよう。
「本当に感謝しているのなら、発泡酒ではなくビールを持ってこい!ハイボールとからあげはどうした!」
その後、妻がどんな行動に出るか。その行動から旦那に対する真の心が見えてくるかもしれない。
勇気があればだけど…。
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林 正寛 | ||