流れ弾。

流れ弾。

  2015/08/25  
     
 

うちの会社は、高速道路に乗ろうとする車、梅田や神戸方面へ向かう車、京都方面へ向かう車がごった返す幹線道路の交差点近くにある。

 

 

ドライバーは苛々して、1回の青信号で少しでも前に進もうと躍起になる。

 

だから、信号が黄色から赤に変わるすれすれのところまで、ズンズンと交差点へ車を押し進めていくし、中には、それは明らかに赤じゃないかという場面もあるが、「流れ」みたいなものもあるので、仕方がないように思う。

 

 

しかし、警察にすれば、仕方がないでは済まされない。

 

 

というわけで、うちの会社近くの交差点は、警察の絶好のハンティングの場所となっていて、毎日、何人ものドライバーが餌食になっている。

 

 

白バイが単独で、黙々と狩りをする日もあれば、別の日にあっては、多勢で仕留める場合もあり、その様子は、まさにサバンナで肉食系の猛獣がいたいけなインパラのような草食系の動物を狩る姿によく似ている。

 

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昨日、見たパターンは多勢でのハンティングで、まず、隠れていた猛獣の見張り役が1名、勢いよく交差点に突っ込んだインパラに向かい指を差しながら、

 

 

「ピピピピピピィー!」

(訳:ホレ、やったな。お前や、お前や。ワシは見とったぞ。早よ止まらんかいコラぁ~!)

 

 

しかし、インパラにはこの時はまだ、「ぎりぎり赤とちゃうやん、信号無視とちゃうしな。何を見てんねん」といった戦う姿勢が見られる。

 

 

すると、交差点を過ぎたあたりに待機していた別の猛獣1名が勢いよく走り寄ってきて、またインパラを指差し、次に手招きしながら、

 

 

「ピピピピピピィー!」

(訳:はい、あなた、あなた、アウトね。大人しく、ここへ、はい、ここ、ここ。早く、ここね)

 

 

この大きな笛の音は威嚇効果抜群で、インパラの表情は一気にこわばり、ふて腐れたような態度に変わる。

 

 

そして、指定された場所へ止めさせられたインパラを今度は、一斉に別の猛獣の仲間4名が取り囲んでしまった。こうなると、さすがにインパラは抵抗する気力を失い、かわいそうについに餌食になってしまった。

 

 

 

警察官6名動員して2点減点、9,000円確保。

 

 

 

この事実にインパラはいつまでも素直な気持ちになれず、流れ弾に当たって命を落としたような、どこか釈然としない思いに駆られるのでした。

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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