動機不純。

動機不純。

  2016/04/07  
     
 

この時期になると日本中、昼夜を問わず桜に関する情報で溢れ、SNSも桜の画像で満載となる。

 

珍しい花でもないし、目にする機会も多いので特に知らせてくれなくてもと思わなくもないが、一人で観賞して終わらせてしまうのに耐え切れず、つい投稿して知らせたくなるのだろう。

 

満開の桜はそれだけ人を惹き付けるし、桜を見ると脳裏に浮かぶ思い出もある―。

 

今日の雨で桜情報もようやく一区切りすると思うが、少しホッとするのは私だけだろうか。

 

 

私は花より団子派であるが、もとより花粉症が気になって桜見物気分にはなれず、この時期は好きな酒もやや遠ざける。

それほど花粉症はつらいが、その割に近頃は、対策がテキトーになってきた。

 

5年前の禁煙をきっかけに、禁煙後は花粉症の症状が治まるのではないかという淡い期待と、単に耳鼻科へ行くのが面倒になったのと、この季節に鼻水はしゃーないやろという年相応の気の緩みが原因なのはわかっている。

 

薬も市販のものでごまかしているが、今年は、一日2回服用するタイプから、一日1回、寝る前に服用するタイプに変えてみた。

 

動機は、CMに出ている女優さんが可愛らしかったから―。

 

ところが、これがまずかった。

 

新しい薬を服用した翌日、全身に発疹が出た。

 

カラダ全身に広がる赤いブツブツを眺めながら、今年の正月、おみくじに並ぶ列を巫女さんの好みで変更し、挙句に凶を引いてしまったことを思い出した。

 

― 動機が不純だとこうなるか…。

 

やむなく、家の近所の内科を受診した。

 

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この内科の先生は、我が家のホームドクターであるが、私は5年前に苦しい胸を押さえフラフラしながら受診し、肺気胸と診断されて以来となる。

 

「ハヤシさん、あれ以来5年ぶりですね」

 

「ええ、あれ以来です」

 

「今日は、どーされましたか」

 

「実は先生、全身に赤いブツブツが…」

 

そう言ってシャツをたくし上げた。

 

「ウワッ、なんだこれは」

 

「やっぱり薬ですかね」

 

「薬ではこうはならんでしょ」

 

「しかし、他に心当たりがないんですよ。変わった食べ物を口にしたわけでもないし」

 

「食べ過ぎと違いますか」

 

「いや、先生、それはお腹デス。今日はブツブツを…」

 

「あれから5年でこうなりましたか」

 

「ええ、こんなんになりました。いや、だから先生、ブツブツが…」

 

「満開の桜のようだ」

 

「オネガイ、ハヤクナオシテクダサイ」

 

 

 

君と春に願いしあの夢は 今も見えているよ

桜、舞い散る―。

 

 
  林 正寛  
     
     

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