一昨年に放送されたドラマ「昼顔～平日午後3時の恋人たち」は、主婦層を中心に、大人の恋に憧れるOLや学生を含む世代にも支持されてヒットした。

「不倫ドラマ」と言えば、約30年前に放送され、「金妻」の略称で広く知られた「金曜日の妻たちへ」がパイオニアだろう。

放送がある金曜日の午後10時には主婦が電話に出ないとまでいわれるほど大ヒットしたが、1985年に放送が開始されたシリーズ3作目の「金曜日の妻たちへⅢ～恋におちて」では、小林明子が歌う主題歌の「恋におちて-Fall in love-」もヒットし、「不倫」という言葉を世に広めた。

オジサンが小指を立て、「私はコレで会社を辞めました」というCMのフレーズが流行り、その年の新語・流行語大賞の流行語部門・大衆賞に選出されたのも1985年である。

「私はコレで会社を辞めました」のCMは当初、公序良俗に反するのではないか、女性団体から抗議があるのではないかと懸念され、実際に批判もあったらしいが、スタッフの熱意で放送を行うことができたという。

人の本能は禁止されると欲しくなるようにできている。

昔話に出てくる人たちは、「絶対に見てはいけません」「決して開けてはいけません」とわざわざ注意されているのにその欲望を抑えきれず、数々の失敗を犯してきた。

タレントの不倫に世間が強烈に反応するのは、おそらく、アンタッチャブルな「不倫」に対する欲望や憧れのような感情、または、どこか羨ましく思ってしまう自分への裏返しの表現であり、実際に「やった人」は徹底的に責められることになる。

日清カップヌードルのCMは、単なる風刺または皮肉、若しくはギャグであり、批判はいかにも料簡が狭いと思わなくもないが、それほどまでに世間は「不倫」に敏感に反応する。

ちなみに、「昼顔～平日午後3時の恋人たち」のオフィシャルサイトの中に不倫に関するアンケートとその結果が掲載されている。

Ｑ１．不倫は絶対に許せないか。

　　　そう思わない67％　　そう思う32％

Ｑ２．身近に不倫をしている（したことがある）人がいる。

　　　いる70％　　いない29％

Ｑ３．パートナー以外の異性にときめいたことがある。

　　　ある80％　　ない19％

♪～盗んだバイクで走り出す　行き先も解からぬまま

尾崎豊が歌うからカッコいいのであって、ホンマに盗んだらアキマセン。

人の心も―。