品格は美に優る。
2016/08/24 | ||
熊本地震の最後の行方不明者だった大学生が見つかった。
この件では、最愛のご子息を亡くされ、哀しみの淵に沈まれているご両親が、それでも捜査関係者やマスコミに対する配慮を忘れず、いつもきちんと丁寧に対応をなされていたことに頭が下がる思いがした。
また、東日本大地震のときであるが、ご家族を亡くされた方が、「うちはまだ見つかったから良かったんだけど…」と、未だに行方がわからず、毎日にように海に向かってご親族の名前を呼んでおられる方へ思いやり、声を落とされていた。
少しニュアンスは異なるが、松井秀喜氏がメジャーで現役の頃、試合中に手首を骨折して長期間チームを離脱することになった。
その際に松井氏は真っ先に、「チームメイトに迷惑をかけて申し訳ない」とコメントしているが、ニューヨークの地元メディアは、このコメントを驚きをもって報じている。
日本ではよく耳にするコメントも海を渡れば、苦しい立場に立たされた自分のことよりもまずチームメイトに謝る松井氏のことが不思議でならないわけだ。 文化の大きな違いを感じさせる。
どこの災害の時だったか忘れたが、給水車や炊き出しに向かって一列にきちんと並び順番を待っている姿を、これも海外メディアが驚きの表現で報じていたが、日本人はこうしたことが平然とできる人種であり、私は日本人が持つこの品格をとても誇りに思っている。
私は、海外の事情に詳しくないが、こうした他人への配慮、思いやる心は、日本人は世界の中でも、より広く深いのではないだろうか。
今回のオリンピックでは、勝利した日本人選手のガッツポーズが話題になっていたが、日の丸の重圧を背負い、体力的にも精神的にも限界に近い状態の中で勝利すれば、そりゃあ自然とガッツポーズも出るだろう。
しかし、ちと派手すぎたか…。
勝者の派手すぎるパフォーマンスは、美しさや感動を後退させ、私たちに敗者が存在することを気づかせる。
品格は美に優る。
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林 正寛 | ||