非情のライセンス。
2017/6/16 | ||
オープニングでは、メンバー全員が霞が関ビルのエントランスに横一列で登場し、なんだか怪しい画像とともに、こんなナレーションが流れる。
今日もまた、地球のあらゆる所で、陰謀、裏切り、暴動が渦巻く。 その渦中に飛び込む彼ら。恋も、夢も、望みも捨てて、非情の掟に命を賭ける。
こうして、当時としてはかなり壮大で国際色豊かなハードボイルドなドラマが始まり、エンディングでは、色っぽい女性の声でこんな曲が流れる。
♪~ ウフン ラムール アー ラモール
ああ あの日愛した人の 墓に花をたむけるあした ああ きのう恋して燃えて 今日は敵と味方の二人
私はまだ、小学生の低学年だったが、毎週土曜日、「8時だヨ!全員集合」に続いてこの「キイハンター」を見るのが好きだった。
唯一の娯楽はテレビくらいしかない時代の、土曜日の夜のお楽しみで、千葉真一が活躍するシーンなんてのは、胸をワクワクさせながら見ていたものだ。
当時、父は子どもには厳しい人で、時に、「8時だヨ!全員集合」を見ていると、「くだらない」「食べ物を粗末にしてけしからん」とテレビを強制終了させられたりもしていた。
しかし、なぜか、かなりエロい場面や暴力的な描写も多かった「キイハンター」の強制終了はなかった。
金髪でミニスカート姿の女性がたくさん登場していたからね。父も見たかったんだろう。
登場人物の中でもやっぱり際立っていたのが、野際陽子さんだった。
オープニングで、相手を投げ飛ばしたあと、にっこり笑うシーンは最高に可愛らしく、私の脳ミソに刻まれた大人の女性第一号ではなかっただろうか。
その後、いろいろなドラマで野際陽子さんを見てきたが、このキイハンターでの姿がもっとも美しく印象深い。
81歳だというのに変わらぬ美貌を保ったまま、旅立たれた。
無念でならないが、別れもまた、神が与えた「非情のライセンス」か。
さようなら、野際陽子さん。
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林 正寛 | ||