私は「行きます」と即答した。
2018/11/26 | ||
「あなた、朝ドラに出演中の女優さんのトークショーに当たったので、行きませんか?」と家人から誘われた。
バラエティ番組のスタジオ見学から、かなり当たりにくいジャニーズの人気グループのコンサートまで、この人は割りとこういうものに当たる。
NHKの朝ドラは見たこともないけれど、「行きませんか」は、私には「生きませんか」とも「逝きませんか」とも聞こえ、断われば私自身の生死にかかわることになるかもしれないので、私は「行きます」と即答した。
座席は主催者側がアトランダムに決める。大阪のNHKホールの収容人数は1,400人ほどであるが、そんな中で私たちは、前から3列目に配置された。
これも家人の引きの強さのおかげかだろう。
家人は、おそらく本人に自覚はないだろうが(その自覚のないところがまたオソロシイが)、どこか引きの強さというか勘の強さみたいなものがある。
だから私は、真夜中に酔っ払って帰宅しても、家人が起きてこないよう細心の注意を払う。
長年の防衛本能からか、自宅のドアの前に立てば、さっきまでドンちゃん騒ぎをしていた人とはまるで別人となり、音を立てずに鍵を回して忍び込む(その後ろ姿はほとんどドロボーに近い)。
鍛えあげた忍び足は、そこらにいる忍者に負けない自信がある。
生きていくために磨かれた手段というやつだ。
トークショーはというと、さすがに本物の女優さんは違う。
安藤サクラはとてもチャーミングで、内田有紀は可愛くて、松下奈緒の美しさは格別だった。
私は松下奈緒が好きなのだが、家人から「どうでした?」と聞かれ、
「安藤サクラと内田有紀は可愛かったけど、松下奈緒は案外フツーだったね」
「あら、松下奈緒はとてもきれいだったじゃない」
「あっ、いや、そうかぁー?特にそうは思わなかったけどな」
私とは反対で、家人は松下奈緒が苦手だということを私は知っている。
生きるために踏まなければならない絵はある。
それが例え松下奈緒であってもだ。
― あ~、プライムリッチ一緒に飲みたいナ…。
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林 正寛 | ||