嗚呼55歳、夢ならばどれほど良かったでしょう。

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嗚呼55歳、夢ならばどれほど良かったでしょう。

  2018/12/12  
     
 

 

私は55年前の12月12日に、不覚にも泣きながら生まれてきた。

 

今、去来するのは、あの日の分娩室。

 

生まれてすぐ、助産師のオネエサンに、

 

「君、産湯が少しぬるいんだけど」

 

訴えたが聞いてもらえず、おかげで12月生まれなのに寒さが苦手になった。

 

 

 

それにしても、ついこの前生まれてきたと思ったら、もう55歳。

 

ついに、あの偉人・磯野波平54歳を超えてしまった。

 

そして今年もまた1年が刻々過ぎようとしている。

 

 

 

平成最後のこの1年は、まるでノストラダムスの大予言にでてくる恐怖の大王が次々とやってきたかのようなありさまで、40度を超える猛暑や大洪水、大地震、猛烈な台風に見舞われ、多くの人が傷ついたり亡くなったりした。

 

いじめはなくならず、若い命が失われ、大人たちの理不尽なパワハラの前にたくさんの若いアスリートたちが唇を噛んだ。

 

大企業によるデータの改ざん、不正。なにを言っているのか、なにがしたいのかわからない国会議員。

 

 

そして、こんな世の中に見切りをつけるかのように、大杉連、西城秀樹、星野仙一、横綱輪島、さくらももこ、樹木希林…。たくさんの著名な方々が旅立っていった。

 

ひとつの時代を築き上げた安室奈美恵が引退し、平成の大横綱貴乃花は、平成最後の今年、角界から去り、一寸先の闇に飲み込まれた𠮷澤ひとみも去った。

 

そして、まさか、あの人まで去ってしまうなんて、ショックが大き過ぎるでしょ。

ゴーン!あっ、じゃなかった、ガーン!

 

いろいろあり過ぎて、かの山口メンバーの退場がはるか昔のように思える。

 

 

 

人生は、「夢のようなもの」なのかもしれない。

 

夢ならば、世の不条理に対しても前世の因果などというものを持ち出さなくても折り合いがつく。

 

うたかたの出会いも、そして別れも、悲しい現実も夢ならば…。

 

 

そして、自分が55歳という年齢に達したことも夢であってほしいのに、娘から「じぃじ、お誕生日おめでとう」と孫の写真とともにLINEが届き、「じぃじ」と呼ばれることにすっかり慣れ、満面の笑みで孫の写真を見ている自分にハタと気づき、ずいぶんと遠くまで来てしまったことを痛感させられた55歳の誕生日。

 

 

 

米津玄師を聴きながら―。

 

 

 

夢ならばどれほど良かったでしょう

いまだにあなたのことを夢に見る

忘れた物を取りに帰るように

古びた思い出の埃を払う

 

 

 

 

 

 

 

  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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