ブルーキュラソーのクリームソーダ。
2021/6/22 | ||
会社から歩いて十数分ほどのところにあるそのビルの前の献花が日に日に増えている。
私は、毎朝、そのビルの前を車で通って出勤するが、先日、ビルの前で車を止め、手を合わせた。
そうしなければ、たとえ車であっても、素通りすることができなかった。
カラオケパブの女性オーナーが殺害された事件現場。
報道によれば、私が6月12日の朝、いつものようにそのビルの前を車で通過した時間帯、彼女は、そのビルの店の中で倒れていたことになる。
そのことを思うと、余計に胸が痛かった。
怖かっただろう。苦しかっただろう。悔しかっただろう。
希望を胸に開業してからわずか5ヶ月後、その店の中で将来を絶たれた。まだ、25歳だった。
緊急事態宣言下、店のやりくりはさぞかし大変だったに違いない。
それでも、やっと出した店だ。懸命に営業をしていた様子がSNSからうかがえる。
人は、人との出会いが人生に分岐をつくる。人によっては、その岐路が人生を左右することもあるが、彼女の人生に、人間の顔をした悪魔が現れ、紛れ込み、出会ってしまった。
世の不条理を恨む。
6月10日。 最後のインスタに掲載されたブルーキュラソーのクリームソーダの鮮やかで透明なブルーが目に沁みる。
彼女は確かにその時、そこにいた。
残念で仕方がない。
残念で仕方がない。
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林 正寛 | ||