パッション
大学生の長女が春休みを利用して東京ディズニーランドに遊びに行った。
USJに年間何十回も行く彼女でも、東京ディズニーランドは別格らしい。
バブル崩壊後、たくさんのテーマパークが閉鎖していったが、東京ディズニーランドの人気は衰えない。
以前、関連の書籍を読んだことがあるが、それはそれは驚くほどのマーケティング管理と年間何百億円も
の設備投資を行い、ゲストの満足度を高めるためには心理学の領域まで踏み込み、日々、研究、工夫、創
作が繰り返されている。
USJの2013年度入場者数が開業初年度以来の1,000万人を突破した。
こちらは東京ディズニーランドと違い、紆余曲折を経て、やっとこさここまでたどり着いた。
USJは当初、大阪市の第三セクターがゆるい運営をしていたところに不祥事が重なって、会社としての
USJは、2004年に事実上破たんしている。
その後、ゴールドマン・サックス証券グループなどを引受先とする250億円の第三者割当増資やMBOによ
り上場廃止、運営を別会社に分離させるなどの組織再編を行ってきたが、入場者数は伸び悩み、2009年度
には700万人の前半まで落ち込んだ。
では、どうやってここまで回復させることができたのか。
立役者は、2010年に入社した、現CMO・執行役員の森岡毅氏であるが、なにも彼は特別なテクニックを使
ったわけではない。
あえて言うならば、アイデアを捻り出すための「執念」「情熱」だろうか。今では「死語」に近い言葉かも
しれない。
森岡氏は確かにマーケティングに関してはプロ中のプロではあるが、全社員を敵に回してでも成し遂げよう
とする情熱は只者ではない。
その執念や情熱で、「映画だけのテーマパーク」からの脱却を図り、ワンピースの手を借り、「ユニバーサ
ル・ワンダーランド」を完成させてファミリー層を取り戻し、モンスターハンターを呼び、パークをゾンビ
で埋め尽くし、スパイダーマンを4K3D化した。
そして、彼はついには、ジェットコースターを後ろ向きに走らせてしまったが、この「ハリウッド・ドリー
ム・ザ・ライド~バックドロップ~」が最終的にUSJの窮地を救った。
後ろ向きジェットコースターはなんと、9時間40分という日本におけるアトラクションの待ち時間記録も更
新した。
― これはゲストの執念だナ…。
2014年度には、450億円を投入した「ハリー・ポッター」の大型エリアを開設。「ホグワーツ城」などを再
現する。
年間売上高の半分以上にあたる450億円を一つの事業に投じるなんて尋常ではないが、『リスクを冒さなけれ
ば「勝ち」は得られない』とは、森岡氏の著書「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」
での言葉である。
仕事、家庭、暮らし…。どうしたものやらと思うことが多い。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」か…。
何事も情熱を失わないことだ。