自宅の買い時。
この質問を時々されるが、返答に困る。
なぜなら、「買い時」など人それぞれで違うからである。
かといって、そんな答えではにべもないので、「どうでしょうか…!?環境は悪くはないですよね」と…。
確かに、金利は低いし、住宅ローンの商品も最近は、三大疾病や自然災害に備えたものなどもあり、
充実している。
住宅ローン減税の効果も大きい。
耐震・免震技術も向上し、災害時の食料や水を備蓄しておく貯蔵庫まで設置されているマンションも
ある。
キッチン、バス、トイレなどの標準設備のグレードはドンドン高くなっており、快適な住まいの確保
に事欠かない。
新築住宅のモデルを内覧すれば、購入に向かって走ること間違いない。
あとは何を「買い時」の基準にするかだけの話じゃないだろうか。
単なる暮らしの充実か。
または、生活設計や転勤、退職などにかかわるタイミング的なものか。
いずれにしても、住宅ローンを組む場合は、最低でも1割、ベストは2割~3割の頭金が用意できた
ところを「買い時」とした方が賢明かもしれない。
日本の不動産の価格は上がらない(緩和マネーの影響でミニバブルはあっても、構造的には上がらな
い。たぶん…)ので、仮に住宅ローンの返済に困った場合、頭金が入っていれば、自宅を売却するこ
とで債務を全額返済できる可能性が高くなるのである。
新築住宅の場合だと、新規分譲価格には事業者の利益がたっぷり乗っているので、中古になった場合
の価格ギャップが激しい。そのギャップを埋めるのが頭金である。
もっとも、住宅ローンを組める信用力と返済能力があるのであれば、自宅は賃貸に留めておいて、収
益不動産を購入する方がいいように思う。
自宅に大金を払って住宅ローンを組んでも、自宅は1円の価値も生まないし、価値は徐々に減価して
いく。
収益不動産であれば、賃料を得られるし、収益を前提とした価値判断のできる不動産は、大きく値下
がりはしない。
過去、長期住宅ローンを組み、自宅不動産を購入してきた背景には、年功序列、終身雇用の保証があ
ったが今は無い。
今春のベアを喜ぶ前に、過去20年、ベアがなかった事実を認識しなければならない。
どんな将来像を描いて「買い時」とするか。
悩ましい限りである。
林 正寛