時は流れた。

時は流れた。

  2016/10/05  
     
 

先日、スターバックスコーヒーというカフェに行ってきた。

 

今どき、「スタバ」といえば、ほとんどの人に通じると思うが、私はこうしたカフェとかファストフード店が苦手で、ここ十数年、一人で行って注文をしたことがない。

 

この日の注文も家人に任せた。

 

理由は、いつも混んでいて落ち着かないこと、注文するのに並ばなければならないこと、そもそも注文の仕方がよくわからないこと、お店の人に何か聞かれても意味が理解できないこと、ファストフードに関しては、美味しいと思わないことなど。

注文する前に席を確保しておかなければならなかったりするのも好きではない。

 

大きさはどうするのかとか、こちらの注文に対してあれこれ聞かれて答えるのが面倒だし、ファストフード店の中には、こっちのセットにはポテトも付いていますよと、注文をしていないものを勧めてきて、こちらが「いや、結構です」と断ると、不思議な顔をしながら「お値段的にもお得ですけど」と食いついてきたりする。

 

こうしたカウンターでのやり取りが嫌で仕方がない。

 

その点、喫茶店はイイ。

 

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席さえ空いていればそこに座わり、あとは注文を聞きに来てくれるお店の人に一言告げればそれで済む。

 

喫茶店との付き合いは長いし、物語は尽きない。

 

高校生の頃、ちょっと粋がって煙草をふかしたのも、カッコいいコーヒーの飲み方とカッコいい煙草の吸い方を研究したのも、インベーダーゲームに夢中になったのも、ジャズに耳を傾けたのも喫茶店。

 

彼女に告白したのも、別れを告げられたのも喫茶店。

 

仕事をするのも、サボるのも喫茶店。

 

また、喫茶店のモーニングが格別で、中でもカリカリに焼かれた厚切りの食パンとゆで卵のコンビは、どのファストフード店のどのメニューよりも最強であると私は思っている。

 

 

 

先月、会社の近くの馴染みの喫茶店が店を閉じた。

 

コンビニでも淹れたてコーヒーが飲めるという時代の流れに喫茶店は抗えない。

 

コンビニ前では、立ったままでコーヒーを飲みながら煙草をふかす人たちが独特のコミュニティを形成している。

 

不思議な時代になったもんだ。

 

 

ボブ・ディランが流れる店内で、コーヒーの香りを胸いっぱい吸い込みながらうたた寝していたあの日の午後が、かけがえのない貴重な時間だったとは。

 

 

 

♪~

あの時の歌は聴こえない

人の姿も変わったよ

時は流れた

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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