がんばりましょう。
2017/1/18 | ||
日本は無宗教大国と言われている。
日本人の半数以上は無宗教というが、初詣や十日戎(戎社の祭礼)の賑わいを見ると、宗教と無縁では生きてはいけない人種なんだとも思う。
また、いくら無宗教派を貫いている人であっても、縁起を担いだことくらいは、一度や二度あるのではないか。
幸せを引き寄せるのも、揺れ動く心を治せるのも、最後は自分の心でしかないのに、多くの人は心の外の力を求めずにはいられなくなる。
私も毎年、初詣も十日戎にも行く。
しかも、正月なんだからと、いつもよりお賽銭は多めにふるまったりする。
また、お守りを買うときには、なんでこんなものがこんなに高いんだ。神社の商売が繁盛するだけじゃないかと、突っ込みを入れたくなる気持ちをグッと抑えて、まぁ、一年に一度の十日戎なんだし、福娘は可愛いし、これで商売が繁昌すれば安いものだしと、ブツブツと自分に言い聞かせている。
お賽銭を奮発して、高いお守りを買って、さらにおみくじ代を支払って、その挙句、「凶」でも出ようものなら縁起が悪いとまた、厄除けのお守りを買って、おまけに、屋台で焼きそばを買って、たこ焼きを買って、フランクフルトを買って、リンゴ飴を買って、チョコバナナを買って、お土産にベビーカステラを買って帰って―。
まぁ、これはこれで楽しいんだけど…。
昨年のおみくじは「凶」を引いた。
おみくじを買うときに、あのまま3番に並んでおけば良かったのに、つい、2番の窓口にいた巫女さんにつられて列を変えたのがいけなかった。
今年は邪念を捨て、「無」の心のままおみくじを引いたら「大吉」だった。
さぞ、ウキウキするようなことが書かれていると思いきや、祈りなさい、信心しなさい、努力しなさい、幸運がくるのはその後ですよといった戒めの言葉が並んでいる。
昨年の「凶」もそんなことばかりが書いてあってうんざりさせられたが、「大吉」なんだから、もう少し楽しくなるようなことは書けないものかね。
― 幸せは歩いてこないか。
横にいた家人が私からおみくじを奪い、運勢のところを指差した。
「あら、なにこれ。あなたにぴったりじゃないの」
「ん?なになに」
淫事にふけったり 遊びに走ることなく 気を引き締めて人生に立ち向かいましょう
♪~ Hey Hey Hey Girl どんな時も くじけずにがんばりましょう Hey Hey Hey Boy かっこわるい 朝だってがんばりましょう
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林 正寛 | ||