量刑相場。
2017/3/8 | ||
そもそも法律は、誰に対しても平等に違法か合法かの答えが出るようシンプルに構成されているので、細かい配慮には不向きで融通が利かない。
そんな法の宿命の中で裁判官は、憲法と法律以外の何ものにも影響されることなく、自らの良心と自由な心証に基づいて判決を下すのだから、同じような事件であっても、量刑にばらつきが出るのはやむを得ないのかもしれない。
また、無期懲役といったところで、10年以上服役すれば、仮釈放の対象になり、「改悛の状」を条件に社会復帰も可能である。
「改悛の状」の運用については批判がある一方、解釈の幅を狭めて終身刑を導入することについても議論があり、全国の刑務所はどこも定員オーバーの満室状態であるというつまらぬ事実も、終身刑導入の壁となっている。
小金井女子大生刺傷事件。
タレントの松本人志がテレビ番組で、判決前に「終身刑でもちょっと足りない」、懲役14年6月の判決が言い渡された後には、「最後に裁判官に一発刺された感じ」と―。
感情としては同感である。
しかし、他方で、量刑相場なるものがあるのも事実であり、それもまた、「法の下の平等」のあらわれとして、尊重されなければならない。
けれども、被害者感情を思えばやはり…。
事件の悲惨さと量刑相場の板挟みとなる裁判官の苦しみはいかなるものであろうか。
到底、私ごときの頭では想像することさえできない。
世の不条理に加え、社会は理不尽ときた。
これが現実であるが、それでも歯を食いしばって生きていかねばならない。
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林 正寛 | ||