お父さんはどこにいったんだ?

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おとうさんはどこにいったんだ?

  2017/3/15  
     
 

親が子どもの学校行事に積極的に参加するのは概ね中学生までで、高校生くらいになると、特に父親は足が遠のく。

 

これが最後と思い、先日、息子の中学校の卒業式に参列してきた。

 

私は、小学校も中学校も転校生だったので、卒業式の感慨はまったくなく、高校にいたっては、卒業式の記憶さえない(一体、私はどこで何をしていたのだろうか)

 

 

前日、息子が「オレ、絶対泣いてまうわ」とわざわざ予告しにきた。

 

なんだ、男のくせにと思わなくもないが、大人になれば、泣きたくてもわざと作り笑いをしたりして、心の中でしか泣けなくなる。

 

今、しっかり泣けばいいと思った。

 

しかし実際、卒業式は、立ったり座ったりを繰り返しながら粛々と進行していく。

 

― この式の一体どこが泣けるんだろうか…。

 

 

道頓堀.jpg

 

 

ところが、「在校生送辞」あたりから空気が少し変わってきて、「卒業生答辞」で一気に泣きモードに入ってきた。

 

運動会や文化祭で力を合わせて何やらを達成しました、部活をがんばりましたと、卒業生代表が声を詰まらせながら思い出を口にすると、あちこちでウルウルしだした。

 

そして、

 

「悩みを聞いてくれた担任の先生、ありがとう」

「体調が悪い時、励ましてくれた保健の先生、ありがとう」

「理解できるまでとことん教えてくれた数学の先生、ありがとう」

 

こんなこと言われると、そりゃあ誰だって感極まる。

 

 

極めつけが、

 

「毎朝、起こしてくれたお母さん、ありがとう」

「毎日、お弁当をつくってくれたお母さん、ありがとう」

 

これでみなさん、涙腺が決壊した。

 

見ると息子も目を手でこすって涙を拭いている。

 

― そうか、これか。いいなぁ、熱いなぁ。

 

 

卒業式後、校庭には、いつまでもいつまでも名残惜しそうに記念撮影をする子どもたちの姿があった。

 

 

 

「それにしても、先生ありがとう、お母さんありがとうはいいけれど、お父さんはどこにいったんだ?」

 

「あら、あなたはいつも飲みに行っていないじゃないですか。たまに早く帰ってきても、ただ居るだけですから」

 

― ただ居るだけって…。

 

 

 

「あなた、なに笑ってるの?」

 

 

 

大人になれば、泣きたくてもわざと作り笑いをしたりして、心の中でしか泣けなくなる。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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