思い出、おもいで、OMOIDE。
2018/1/16 | ||
先日、サラリーマン時代の上司二人にお会いし、食事をする機会があった。
この三人が顔を揃えるのは何年ぶりだろうか。
少なくとも、私が開業して11年の間は一度も無かった。
あのころ、債権回収の現場は、どこから弾が飛んでくるかわからない戦場のようで、当時36歳の私は、最年少で班長という肩書をいただいてはいたものの、要するに、特攻隊長のようなもので、現場の責任者として、平日はもちろんのこと、休日も、朝から夜遅くまで、社内外を走り回っていた。
ブラック企業なんて概念は、当時の世の中にはなかったけれど、今思えば、ブラックにパワハラだらけというとってもトレンディな環境に身を置いていたわけだ。
当時のつらかった記憶も今では、薄ぼんやりした柔らかな思い出になり、熱血漢といえば聞こえはいいが、つまりはパワハラが服を着て歩いているようだった上司二人との久しぶりの酒もとても美味かった。
ただ、すっかり薄くなった熱血漢の頭髪に、過ぎ去ってしまった年月を思い知らされ、人生におけるさまざまな出来事が、ビュンビュンと凄まじい勢いで過去へと流されていくことがやけに寂しく感じられた。
店を出た後、二人は寒そうに肩をすぼめていたが、見送った二人の背中が小さく見えたのは寒さのせいだけではない。
寒風が耳元でビュンビュンと鳴り、楽しみにしていた今夜の再会もまた、雨上がりのビル街であっという間に過去に流されてしまい、思い出となった。
思い出、おもいで、OMOIDE。
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林 正寛 | ||