あしたはどっちだ。
2018/2/27 | ||
矢吹丈と戦うため、過酷な減量に取り組みリングに上がった力石徹は、減量の影響もあり、その戦いで命を落としてしまう。
一方の矢吹丈は、自らがパンチドランカーであることを知りながら、白木葉子の「矢吹君が好きなのよ。だからリングに上がらないで」の言葉を振り切り、世界一の男が待つリングに上がり、そして燃え尽き、まっ白な灰となる。
白木葉子の言葉を振り切る勇気は私にはないが、昭和な男は少なからず、力石と矢吹の「破滅の美学」に憧れを抱く。
先月、3名(弁護士1、税理士1と私)の島根県出身者による「島根会」を結成し、旗揚げ式のセレモニーを「のどぐろ」で有名な海鮮料理の店で行った。
そして今月は4名(弁護士3と私)で「島根会」を開催したが、このうち、私を含む3名は、年代はバラバラながら、松江市内の同じ病院で生まれているという偶然である。
仕事を離れ飲む酒の美味いこと。
いい加減、減量に取り組まなきゃならないし、保健師さんとの約束で酒も減らさなきゃならないというのに、「島根会」を結成させてまで一杯の酒を飲もうとする私は、間違いなく「破滅型」だろう。
「あなた、ゆうべはずいぶん遅かったじゃないですか」
「う~ん、そうだったかな」
「それに冷蔵庫からあれこれ出して、夜中に食べるのはやめてくださいね」
「……」
「あのケーキは子どもに買っておいたものなんですよ」
「ああ…」
「もしかして、あなた、覚えていないんですか?」
「あっ、いや、どうだったかな」
「どうだったかなって、あなた、もしかして頭の中が」
「うん、まっ白」
あしたはどっちだ―。
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林 正寛 | ||