一人でゆけ。
2018/5/8 | ||
オスカー受賞の辻一弘氏があるテレビ番組に出演された際、司会者から、若者へひと言お願いしますと振られ、このような発言をされた。
「人の意見は聞くな」
辻氏が持つ哲学だろう。職人気質と言ってもいい。
ただ、額面どおりではとても生きにくい。
言い換えるとすれば、「自分を持て」ということではないだろうか。
今、世の中は、働き方、生活仕様、社会保障、税制など、我々の「暮らし」が国の方針、法制といった形でのパッケージ化(マニュアル化)が進み、人は、世論(世間、風潮、風評、トレンド、予定調和含む全般)という大きな波に揺られ、ドンブラコ、ドンブラコと流されている。
毎日、秒速で送られてくる情報は、一瞬で古くなり、そして捨てられる。
そんな世の中で、人の意見を聞き、世論の波にも乗り、溢れる情報のシャワーも浴びたとしても、「自覚」を忘れるなということ。つまり、自分の価値や能力を知り、自分は一体何者であるかを認識することだ。
そのためには、群れないこと。
人と群れず、一人だけの空間に身を置くこと。
旅行、音楽鑑賞、映画鑑賞、酒、食事…。自分を見つめ直すきっかけになれば、なんだって構わない。
大切なのは一人でいることだ。一人で考えることだ。
群れると、どうしても自分を見失う。自分を見失えば、振り返った時、自分の歩いてきた道がわからなくなってしまう。
一度きりの人生だ。
自分が歩いてきた道くらいは、わかるようにしておきたい。
だから、群れるな。
一人でゆけ。
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林 正寛 | ||