雲ノムコウ側。
2020/3/2 | ||
私は、読書家とまではいかないが、まあ、本を読むのは好きな方で、ジャンルは問わない。
先日、読んだ小説の中に、物語の持つ力について、こんなふうに書かれていた。
「自分じゃない誰かの人生を追体験できること」
「他者を想像できること」
「自分以外の誰かの立場に立つこと」
私は以前、ブログにこう書いた。
「つまり、人間は欲深くてスケベで怠け者で、人間同士で傷付け合ったりして愚かな存在なんだが、雲の向こう側にはきっと素敵な何かがあるのではないかという純粋な思いを共有できるのも人間であり、だから人間同士、生きていけるのだ」
雲の向こう側にある素敵な何かを想像したり、その思いを共有し人間同士生きていくためには、他人を思いやったり、その人の立場に立って考えることがなにより大切で、その思ったり考えたりすることの根底にあるのは「情緒」である。
情緒は本来、人はみな生まれながらにして備えているものであるが、水分(潤い)のように補給してやらないと枯れていく。
情緒は、人と出会い、ふれあい、言葉を交わし、助け合ったり、また、別れたり、悔しい思いをすることで補うことはできるが、自らのそうした体験以外にもわずかに補える方法がある。それが読書だと思う。
最近は、読書をする人が少なくなっているらしい。
電車の中でも、本を読んでいる人よりスマホを眺めている人の方が断然多いが、スマホからではまず情緒は補えない。
第一、スマホから得られる情報ときたら、今年に入ってからも、不信、不倫、不安、不況、デマ…など、情緒が不安定になるものばかりである。
こんな時代だからこそ、こんな時だからこそ、本を手にしてページをめくってみてはどうだろうか。
案外、雲の向こう側にある素敵な何かを発見できるかもしれない。
以上。
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(欲深くてスケベで怠け者の代表)林 正寛 | ||