つまらぬ大人の男が増えた原因。

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つまらぬ大人の男が増えた原因。

  2014/12/10  
     
 

先日、「気が付けば青春」というタイトルのブログで、私は気が付かないことに関しては天才かも知れないと書いて投稿したその晩。

 

帰宅して風呂に入り、食事をしていると家人が、

 

「あなたって本当に気が付かない天才ですよね。」

 

「なんだ、読んだのか…」

 

「私に関心がないってことかしらン」

 

「そういうわけではないが…」

 

「あなたって本当に気が付かないんですね」

 

「なんなんだ、そう責めるんじゃない」

 

「だって、やっぱり気が付かないんだもん」

 

「あ…」

 

― しまった…。

 

ここでようやく気付いたが、家人の髪形が変わっていた。

こうやって、目の前に落ちている地雷を平然と踏んで木っ端みじんになる。

よくここまで生きてこられたものだと思う。

 

 

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今年の夏、たまには映画でも観ようかと思い、「ホットロード」という邦画を観に行かないかと家人を誘ったが、

 

「私は興味がありませんので、あなたお一人でどうぞ」

 

と、にべもなく断られた。

 

たしかに中年夫婦が二人して観る映画ではない。

かといって大人の男が一人で観に行く映画でもない。一人で感動して、うっかり涙を流しているところなんかを知り合いに見られでもしたら、

「あら嫌だ、ハヤシさん、一人で涙してるわ。奥さんに逃げられたのかしら」などと、痛い目線で見られるだけである。

 

結局、映画を観に行くプランは中止したが、それにしても、最近は、青臭い恋愛ものやアニメ、コメディタッチのものが多くて、大人の男が一人で見て楽しめる邦画があまりにも少なくなった。

 

高倉健や菅原文太に代表される、男からの支持率が高い映画俳優がいなくなったのも一つだろう。

 

石原裕次郎や渥美清に三船敏郎、鶴田浩二などは、大人の男をしびれさせた。

少し新しいところでは、松田優作。ミュージシャンながら、ジョニー大倉も魅せてくれた。

 

昔は、暴力、暴走、略奪、博打、麻薬、酒、タバコなどの社会悪がぎゅうぎゅうに詰まった映画を観て、男は欲求不満を解消させ、現実とのギャップに戸惑いながらも、より妄想を膨らませ、高倉健のように武骨で、松田優作のように強靭な男になりたいと男に磨きをかけたもんだ。

 

大人の男が卑劣な罪を犯したり、女性をつけまわしたり、危険ドラッグでみっともない姿を世間に晒したり、騙したり、隠したり、逃げたり、泣いたり。

このごろ、つまらぬ大人の男が増えた原因は、男が一人で観られる映画がなくなり、生き方の目安にしたくなるような男優がいなくなったこともあるのではないか。

 

時代の流れといってしまえばそれっきりだが、今さらながら、邦画の果たしてきた役割の大きさを思わずにはいられない。

 

 

 

「なんだ、髪形を変えたんだ。よく似合ってるよ」

 

「なによ、今さら…」

 

「近すぎるとかえって気が付かないこともある」

 

「目の前にいるのよ。どうして気が付かないのかしら」

 

― 自分、不器用ですから…。

 

言おうとしたがよした。

 

 

地雷に気が付いた。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

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