怪しい人。
2014/12/26 | ||
ある法律事務所を久しぶりに訪問してきた。
この事務所の先生とは親しくさせていただいてはいるが、このところ仕事の依頼は無い。
法律事務所といっても業態(得意分野)は様々なので、親しいからといって案件があるわけではないし、中には仕事のつき合いはないけれど、飲み友達のような関係の先生もおられる。
また、私の会社は、多くの弁護士の先生が事務所を構える大阪地方裁判所にほど近いこともあり、普段から道を歩いていても、よくバッタリと先生と出くわす。
そんなことから、親しい先生ほど営業を怠りがちになるので、たまに時間があるときに一気に法律事務所を訪問して回る。
飛び込み営業もするが、最近は、セキュリティ対策でドアにインターフォンを設置されている事務所が多いので、かなりやりにくい。
インターフォンに向かって頭を下げながら必死に話しかけるわけだ。
「アスキット・プラスの林と申します。法律事務所を専門に不動産の換価業務を…」
だいたい、このあたりで、「あー、結構です、ガチャン!」となる。
インターフォン越しに見る人の姿はかなり怪しいし、不動産を名乗れば、さらにいぶかしげなので、門前払いはやむを得ない。私でもそうする。
また、不思議とインターフォンに向かって喋っているときに限って、隣の事務所から人が出てきて目が合ったりする。
― あら、嫌だ。この人セールスの人だわ。うちに来なければいいのに…。
目は口ほどに物を言う…。
久しぶりに訪問した法律事務所では、事務員の女性が新しい方に変わっていた。
ここにはインターフォンはないので面と向かうが、女性は私のことを知らないので、私を見た瞬間、“この人怪しい”。心の安全装置のスイッチが入ったのがわかった。
「アスキット・プラスの林と申します。先生はいらっしゃいますか」
「スキット、クラブですか?…」
― なんだそれ。スッキリするクラブか、たしかに怪しいナ…。
「あ、いえ、アスキット・プラスです」
「アスキート、クラブ…?あのぉ、どのようなご用件でしょうか」
― だからクラブじゃないから。
「アスキット・プラスです。このところ先生にお目にかかっていないのでご挨拶に参りました」
「そうですか、少々お待ちください。先生!スキットクラブの方がお見えですけどー」
営業を怠ってはイケナイ。
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林 正寛 | ||