ジョーダンはよしこさん。

ジョーダンはよしこさん。

  2015/03/18  
     
 

売買契約予定の不動産の給水管は、私設管によって引き込みがなされているため、その管がだれの名義なのかを調査する必要があり、大阪市水道局の分室を初めて訪ねた。

 

配管状況と名義人がわかる資料を閲覧し、写しをもらった後、

 

「謄写代はいくらですか」

「750円です」

「はい、750円ね」

「あ、いや、後ほどご指定の先まで納付書を郵送しますので、それで納付してください」

「えっ、750円をわざわざ後日納付するの?ウソでしょ…?」

「はい、ここへ住所、会社名を記入してください」

「君、ジョーダンだろ。今、払うからそれで済ませてよ」

「申し訳ございません。みなさんに納付していただいてルンですよ」

 

― うわぁー、出たぁ~!“ルンですよ”って、この前もどこかで聞いたぞ。

 

差し出された用紙を見ると、タイトルに「交付手数料請求依頼書」とある。

 

大阪市水道局が株式会社大阪水道総合サービスという会社へ謄写手数料の徴収を依頼する内容になっている。

ここで750円を受け取ればそれで済むのに、わざわざ大阪市(水道局)が100%出資する会社へ謄写手数料の徴収を依頼するわけだ。

 

― ありえねー

 

その用紙の下のところに「交付請求者」とあり、そこへ私の会社名と住所を記入するようになっているが、記入欄のところには、「納付期限までにお支払いすることを誓約いたします」と書かれている。

なるほど、請求者に後日納付を促すために誓約書も兼ねている、なかなかの優れものの用紙である。

 

“ジョーダンはよしこさん”と思いながらも、興味があったので、文句を言わずにおとなしくしたがい、手続きをして帰った。

 

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後日、封筒に入った納付書が会社に送られてきた。

公共料金や税金を支払うときと同じようなりっぱな納付書が入っている。

納付期限は1ヶ月後。

 

納付書にはなぜか、例の「優れものの用紙」の写しが同封されていたが、用紙には、係員から始まって、調査、担当係長2名、副所長、所長と総勢6名の印鑑が押印されていた。

 

750円の謄写手数料を受け取るためにこの人たちは一体、どれだけの人の手を介し、時間を掛け、経費をかけているのだろうか。納付手続きには、銀行の窓口の人の労力だって必要になる。

その場で手を差し出せば受け取れる750円をだ…。

 

しかも、この750円を納付するために、私は事務員さんに、「悪いけど銀行に行ってきてくれますか。そうだ、久しぶりに一緒に昼飯でも食べましょうか」と気遣うあまり、うっかり口を滑らせ、850円の定食をご馳走するハメになった。

 

 

まったくアホらしくて、

 

“ジョーダンはよしこさん”

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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