サンジュップン。

サンジュップン。

  2015/03/12  
     
 

不動産を仲介する際、建物を新築したときの建築計画概要や上下水道管の埋設状況などがわかる資料が必要となるので、普段、役所へ行って、閲覧したり謄写してもらったりすることが多い。

 

ところが、この対応が管轄や行政の窓口によってバラバラである。

 

謄写代金も、10円のところもあれば、250円のところもある。

 

代金をその場で支払うところもあれば、わざわざ1階の会計係まで行き、そこでお金を支払い、領収書を手に再度、担当窓口へ趣き、そこでようやく写しをくれるところもある。

 

先日、ある役所の出先機関へ行き、1枚の資料の謄写をお願いしたところ、窓口の女性に上司の承認が必要なので、30分待って欲しいと言われた。

特別な資料ではない。不動産の取引の際には必ず必要となる資料である。

 

「サ、サンジュップンって、あなた、写しをもらうだけで…?もう少し、早くならないかね」

 

「申し訳ございません。みなさん、お待ちいただいてルンですよ」

 

― 出たぁ~、これがヤクショ仕事だ。

 

そりゃあ、みなさん、待つでしょうよ。

だって、その資料は、仕事を完結させ、報酬をいただくためには必ず必要になるものなんだから。

「サンジュップンも掛かるならイイや」なんて人はまずいない。

 

どうもヤクショというところは、「待たせておけばイイジャナイカ」の思考から抜け出せず、待たせないためにはどうすればいいのかの発想がないように思う。

 

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女性「写しの交付申請書に印鑑をお願いしますぅ」

上司「おお、君、今日もきれいだね」

女性「それってぇ、セ・ク・ハ・ラ」

上司「いやぁ、悪い悪い。つい本音がでちゃって…。それより、お茶をくれないかね」

女性「もう、お茶ぐらい自分でいれてくださいよォ。ちょっと待ってくださいね」

上司「すまん、すまん」

女性「はい、どうぞ」

上司「う~ん、やっぱり君がいれてくれたお茶は美味しいわ」

女性「またぁ、お上手なんだから。そういえばこの前ぇ…」

上司「あっはっはっはっ~、いや~愉快、愉快。ところで課長がね…」

女性「えー、ありえないですゥ。それって、やばくないですか」

上司「やばいよなぁ……。えーっと、ところで、何だっけ?」

女性「あ、写しの承認です」

上司「いかん、いかん、ついサンジュップンも喋ってしまったじゃないか」

 

まさか、こんなことはないだろうけど、ついこんなことも想像してしまうほど、ただ茫然と待つサンジュップンの長いこと。

 

― オレにもお茶いれてくれ…。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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