どこよりも冷たい秋風。

どこよりも冷たい秋風。

  2014/09/19  
     
 

打者との対戦で投手が捕手に向かって球を投げ、捕手は投手に返球する。

 

何気ない光景であるが、例えば、三塁にランナーがいる場合、二塁手は、捕手が投手に返球するたびに投手の背後に忍び寄る。

 

万が一、捕手から投手への返球が悪送球になり、その間に三塁ランナーがホームに生還することを防ぐために、バックアップするのである。

 

捕手から投手への返球がそれる場面は草野球でも、そうは無い。プロ野球では、何年、いや何十年に一度、起きるかどうかのエラーである。少なくとも、私はプロ野球でその場面に出くわしたことがない。

 

それでも、その、あるかないかの「まさか」のときのために二塁手は備える。

 

 

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過去の実績(栄華)から抜け出せないまま、コンビニやファミレスとの競争に敗れ、低迷が続くマクドナルド。

 

商品開発の手ぬるさ、店舗構成のミスマッチ、CMの古臭さなど、何度かブログで指摘してきたが、そこに「まさか」の賞味期限切れの肉が食材として使用されていたことが発覚し、墜落寸前にまで追い込まれている。

 

しかしだ。中国の食品工場については、以前から衛生面での疑問が指摘されていた。たしか、少し前にはビーフン工場が問題になっていたように思うが、中国に対する「食の不安」は、多くの日本人が持っている。

 

マクドナルドに限らず、日本の企業は食を出荷している中国の工場を視察したりはしないのだろうか。マクドナルドの場合、問題発覚後、タイからの食材に切り替えたというが、タイは安全なのだろうか。

 

日本人の「この会社であれば大丈夫」という根拠のない「大手企業神話」は根強いが、ただ、一度失った信用を取り戻すのは至難である。

 

ほんの少しの機転と当たり前のことを当たり前にやっていさえすれば、防げる「まさか」はある。

 

環境の変化、消費の多様性についていけていないマクドナルドに明日はないと思っていたが、今回の出来事を「まさか」などといっているようでは、もう浮上することはできないだろう。

 

 

 

先月まで巨人と熾烈な優勝争いをしていた阪神タイガースが9月に入り「まさか」の失速とスポーツ番組で報じていたが、これは「まさか」とは言わない。

 

「やっぱり失速」とか「恒例の失速」と言う。

 

毎年のことであるが、どういうわけだか、こればっかりは防げない。

 

 

甲子園球場にこの時期に吹く秋風は、どこより冷たい。

 

 

 
  林 正寛  
     
     

株式会社アスキット・プラス

 

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