別財布の話。
2013/05/16 | ||
日経平均株価の上昇が続いている。
手許の株価の評価額が上がって含み益が出ている人もたくさんいるだろう。 「含み益」で儲かっているのはバーチャルな「別財布」の話であり、現実にお金が入ったわけではないが、そうはいってもかなり気分はイイ。つい贅沢モードになってしまう気持ちもわからなくもない。
期待収入は消費マインドに大きく影響する。 長年続いた期待収入の減少から脱却し、今は、「会社の業績がアップし、ボーナスが増えるかもしれない」など、期待収入が膨らみつつある。あくまでも「別財布」に入っている想像上のお金でしかないが、どうしてもリアルな財布の紐も緩くなってしまう。
人は頭の中で勝手な会計処理をするクセ(「心の会計」)がある。 例えば、毎月の給与とは別に株の売却代金が入ったとすると、「臨時収入は、パァーッと使っていいお金」とお金を色分けして自動処理してしまう。
また、コストの大小を全体に占める比率で判断してしまうのも「心の会計」の一種である。 人は、お昼の弁当を500円のものにするか600円のものにするか、わずか100円の差を真剣に悩んだりするが、一方で、200万円の車を買うときに10万円のオプションを付けることはあまり躊躇しない。
100円と10万円という絶対額の差は歴然なのに、 価格差を比率に直すと、弁当は20%で、オプションは5%に過ぎないからである。
現在のような期待収入の増加は、経済全体として、消費拡大の効果は大きいが、どこまでが現実の財布で、どこからが別財布なのかをきちんと見極めて行動しないと、無駄遣いをしたり、贅沢のクセから抜け出せなくなったりしてしまう。
リアルな収入をじっくり眺めて浪費を避けて、期待収入の増加は自己投資にあてるのもいいかもしれない。 その方が将来のリアルな収入のアップにつながると思うけど。
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林 正寛 | ||