ハヤシライス。

ハヤシライス。

  2013/05/29  
     
 

 

お昼にハヤシライスを食べた。

 

およそ50年生きてきて、外でハヤシライスを食べたのは初めてかも知れない。

なぜ「ハヤシライス」というのだろうか。「タナカライス」とか「タカハシライス」ではダメだったのだろうか。

 

 

小学生の頃、「ハヤシライス、ハヤシライス」とよく冷かされた。

 

小学生は、とにかくしつこいし、くどい。

 

なんの脈絡もなく、「やぁーっい、ハヤシライス」を何回も言われると、それはそれは、腹が立ったものだ。

 

 

大人になった今では、なんてこともないのだが、当時は、「ハヤシ」という名字にコンプレックスを感じていた。せめて「モリ」だったらと思ったりもした…。

 

 

小学生は、なんでも容赦がない。

 

私の髪の毛は「くせ毛」であるが、それを「テンパー、テンパー」と繰り返された。

 

本人が特に気にしていないことでもバカにされるようにして言われ続けると、段々と気になってくる。

 

そのうち、「くせ毛」にもコンプレックスを感じるようになった。

 

 

ハヤシライスを食べながら、子どもの頃のこんなことを思い出した。

 

 

果てしもなく嫌だったこと、辛かったことも、時間の経過が穏やかな記憶にしてくれる。

 

「大人になる」とは、そうした時間を過ごすことなんだろう。

 

 

「ハヤシさんって、くせ毛なんや。そっかぁ、くせ毛か。くせ毛ねぇ」

「その言い方って、なんだか性格のことを指摘されているみたいで気になるんだけど」

「じゃあ、どう言えばいいんですか」

「ナチュラルカーリーヘアーと言いなさい」

「ナチュラル…。あぁ、テンパーね。そっかぁ、テンパーか」

 

 

時間が解決しないこともある。

 

大人になっても腹が立つ…。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

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