だから、昔のことでもよく覚えているのだ。

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だから、昔のことでもよく覚えているのだ。

  2015/02/18  
     
 

私は元々、テレビは見ない派ではあるが、時々、場当たり的にそのとき放映しているドラマを見ることがある。前回からの話のつながりなどどうでもイイ。

気分転換みたいなものである。

 

すると、周囲にいる家族からクレームが入る。

 

「お父さん、そのドラマ、録画した前回の話をまだ見てないから、今、見んといて」

 

私は別に、どの回から見ようと構わないので、

「じゃあ、その録画した前回のを今、見てはどうだ」

 

「今は、時間がないから見られへんねん」

 

「……」

 

また、あるとき。

ニュースが見たくてチャンネルを変えようとしても、リモコンを何度押しても変わらない。

 

「これ、電池切れじゃないのか、チャンネル動かないぞ」

 

「あら、今は二つの番組を同時録画しているからチャンネルは変わりませんよ。あと1時間我慢してください」

 

「1時間って…」

 

 

現代は忙しい。家族がそろってテレビを囲むなどということはまずない。

 

録画した番組を時間がある人から順番に見て、終われば削除していくという方式である。

 

だから、

「まだ見てないのに誰が削除したんや」

「見たら削除しておいて」

「見ないのなら録画せんといて」

 

こうやってたまに揉めている。

 

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ドラマを見ながら私は、「この人、昔、あのドラマに出ていた人だよね」といったことをよく口にするけれど、そのたびに家人には、「あなたはホント、昔のことだけはよく覚えているわね」と言われる。

 

確かに、いつまでも記憶に残っているテレビの中のシーンはあるが、それは背景に心が震えるほどの感動があったからだろう。

 

しかも、録画がないのが当たり前の時代だから、一言一句、聞き逃してなるものか、一挙手一投足、見逃してなるものかと、集中力もハンパなかったように思う。

 

 

アンヌ隊員に自分はウルトラセブンだと打ち明け、「ダン、行かないで」と引き止めるアンヌ隊員を突き倒し、ダンが最後の戦いに行くためにウルトラセブンに変身したとき、私はまだ4歳だった。

 

絶対にテレビに出ないと言われていた松山千春が「ザ・ベストテン」に出演し、「季節の中で」を歌っている姿に感動したのは、中3の秋だった。

 

高1の春、松田優作が演じる工藤俊作の最期のシーンに心が震え、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「身も心も」を歌いながら私は何度も死んだ。

 

必殺シリーズの数々の名シーンは、西崎みどりが歌った「旅愁」と共に蘇る。

 

♪~あなたをさがして ここまできたの

  恋しいあなた あなた 今どこに

 

 

たかがテレビのワンシーンにすぎないが、私にとっては「削除」することのできない大切な思い出のようなものかもしれない。

 

だから、「昔のことでも覚えている」のだ。

 

まあ、そういうことだ。

 

  

 
  林 正寛  
     
     

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