ワインを開ける際にどうしたはずみか、キャップシールで親指の先を切ってしまった。

軽く切っただけで傷はとても軽いのだが、それでも結構、痛いし、出血も案外多い。

まったく人間は、どうしてこうも繊細なんだと思う。

デカい図体をしている割には、こんなわずか数ミリ程度の傷に思いのほか大きなダメージを受けたりする。

これほどまでに繊細かつ精巧で、微妙なバランスを保ちながら生きている生き物は、地球上で人間しかいないだろう。

小さなまつ毛が目に入っただけでかなり痛いし、深爪すると何日も痛くて憂鬱だ。

少し冷やしただけでお腹が痛くなったり、虫歯の小さな穴が、なぜあんなにも痛いのか。

体温がわずか1度上がっただけでカラダがいうことをきかなくなるし、たかだか花粉が体内に入っただけで、くしゃみや鼻水が止まらなくなるなんて、精巧すぎやしないか。

肩は凝るし、腰は痛いし、目はかすむし、腹は出るし…。

一晩、寝不足しただけで朝起きるのがつらいし、一食、抜いただけで腹が減る。

今夜はさすがに早く帰らねば相当やばいとわかっていても、つい飲みに行ってしまうし、いつまでたっても煙草は止められない。

割り込みしてくるクルマに優しくできずにクラクションを鳴らし、お年寄りが乗ってきても寝たふりをして席を譲らない。

冷たくされると落ち込んだり、熱くなって怒ったり、泣いたり…。

ホントに人間は、カラダもココロも繊細すぎる生き物だと思う。

そのくせ人間は、おそろしいことを平気でやってしまう。

同じ人間同士なのに、騙したり、脅したり、虐待したり、傷付けたり。

同じ人間同士なのに、人質に取って身代金を要求したり。

同じ人間同士なのに、テロや戦争で殺し合ったり。

そして、自分たちが住み暮らす地球の空気や水を汚し、緑を破壊していく。

誰が考えてもすぐにわかると思う。

こんな生物種は、長くは続かない、早晩絶滅するだろうということを。

♪～人間なんて　ラララ　ラララ　ララ

それでも人間は、未来に輝かしい何かを求めて生きていく。

人間、まったくわけわからん。

こんな都合のいい生き物は他にいない。

♪～人間なんて　ラララ　ラララ　ララ